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2007-10-02 00:00
日米関係の安定が最優先課題
鍋嶋敬三
評論家
福田康夫内閣の最も重要な外交課題は日米関係の安定である。北朝鮮の核開発問題の6カ国協議では日米間のすれ違いも垣間見えた。7月には米下院が日本政府に公式謝罪を要求する従軍慰安婦決議を採択、最新鋭戦闘機F22の禁輸解除を求める日本の要請も議会で拒否され、日米間にきしみが生じた。11月1日に期限が切れるテロ対策特措法の延長問題ではブッシュ政権の要請にもかかわらず、参院第一党の民主党の強い反対で海上自衛隊のインド洋での給油活動は中止に追い込まれかねない情勢だ。そうなれば日米同盟関係に影響を及ぼすことは避けられない。
テロ特措法(2001年10月)はイラク人道復興支援特措法(2003年7月)とともに、ブッシュ大統領と「盟友関係」を結んだ小泉純一郎元首相の置き土産である。首脳同士の強い信頼関係があったからこそ、北朝鮮の日本人拉致問題ではブッシュ大統領が日本に対する強い支持を表明し続けた。米国産牛肉の輸入制限に対して米国内の一大政治勢力である畜産業界の猛反発を大統領が抑え込んで日米関係を揺るがす経済摩擦にまで至らなかったのである。9・11テロが起きた2001年はブッシュ政権が発足した年である。今年までの7年間に米国の世論に注目すべき変化が表れた。外務省がギャラップ社に依頼した「日本のイメージ世論調査(有識者)」である。
(1)米国の最も重要なパートナーはどこか?――「日本」が72%から53%へ。「中国」が20%から38%へ。ブッシュ政権が2期目に入る2005年を境に潮目が変わった。日本が同盟国として重要なのは当然だが、米国のアジア政策における中国の比重がぐっと増したのである。(2)日本が重要な国際的役割を果たしている分野は?――「安全保障」が23%から43%に急伸した。世界経済、科学技術の分野では100%近くが日本の役割を認めているのは当然としても、国際的安全保障の分野で日本の役割に注目が集まったのは、自衛隊のインド洋、イラクなど中東での活動が評価されたためであろう。(3)日米関係を進展させる方策についても変化が見える。「経済・貿易関係の改善」が60%から36%に減少、「政治・安全保障関係の強化」が12%から26%に倍増した。同盟国としての日本の役割増大に米国の期待が強まっていることがはっきりした。
福田内閣発足直後の国内の各種世論調査でも、テロ特措法の延長による海上自衛隊の給油活動継続について賛成が反対を上回る結果になった。賛否が逆転しただけでなく賛成が5割近くになり、反対を7%から10%上回った。活動中止による日本の国際的影響力の低下に対する懸念が深まったと言えるだろう。政府、与党は新法の提出を検討しているが、テロ特措法の行方は日米同盟関係を軸とする日本外交の将来に影響を与えるだけに、与野党の責任は重い。
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