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2022-01-07 00:00
(連載2)「新しい資本主義」の新型コロナ対策は費用対効果ぬきの聖域か
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
私は新型コロナ危機初期「第一波」の時から、水際対策の重要性を書いてきたが、常に空港税の増額などの措置を伴った施設拡充を中心に論じてきた。現在の政府の政策は、私が論じてきた方向とは全く違う方向で、「水際対策」を行うものだ。たとえば政府は、「外国人の一律入国禁止」を続行し続けるつもりのようだ。人道的な理由やビジネス上の理由があっても受け付けない、この措置は無期限で続ける、という姿勢である。
だがどうしても日本に入りたい強い希望と合理的な理由があり、そのためには費用負担も辞さず、検査や隔離に伴う費用を全て自費で賄って日本の国庫に負担をかけないと誓う外国人がいても、絶対にダメ、という政策は、本当に新型コロナ対策として合理的か。
日本人について、私のような研究者の例をとろう。われわれにしてみれば、費用対効果の観点から合理性のある費用負担を求められても、それで渡航可能性を広げてくれるのであれば、やみくもに禁止を乱発されるよりも、ありがたい。このままでは、いずれ日本人の地域研究者は壊滅に追い込まれるし、研究開発領域の全般で国際競争力を失っていくことは必至である。
これが岸田首相の目指す「新しい資本主義」の姿か。・・・そんなことを言っても内閣支持率はまだ高いんだ、日本の有権者の平均年齢が高いのは現実なんだから受け止めるしかないじゃないか・・・、という意見が、政府関係者の本音だろう。だがそれは、将来世代の視点に立ってもなお、本当に持続可能性のある合理的な政策か。「新しい資本主義」の新型コロナ対策について、もう少し議論があってもいいような気がする。(おわり)
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