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2022-01-11 00:00
今年は一触即発の危険性が増す世界になるか
飯島 一孝
ジャーナリスト
2022年の新年が明けました。いつもなら、お目出度いムードが漂う時期ですが、今年は新年を祝うというより、祝えない雰囲気が広がっている状況です。世界は今、「米中対立」だけでなく、「欧米対中露」という対立軸が加わり、いつ一触即発の危険な事態になるか、わかりません。軍事兵器がますます高度化、多様化しているだけに、危険な事態がいつ、どこで爆発するか、予断を許さない状態です。
世界で今、最も不安定な地域は「ソ連崩壊30年」を迎えたロシアとウクライナなど、旧ソ連諸国周辺です。旧ソ連の宗主国だったロシアがソ連解体で失った「領土」を再結集し、西側諸国に対抗しようとしているからです。中央アジアの大国・カザフスタンで起きている、前大統領に向けた暴動も不安定要因です。こうした事態に対し、ウクライナは親欧米派のゼレンスキー大統領を先頭に、ロシア軍をウクライナ周辺から追い出してNATO(北大西洋条約機構)に加盟しようとしています。この動きを支援しているのが米国、カナダなど親ウクライナの国々です。
もう一つの不安定地域は、中国の習近平政権が軍事力を行使してでも取り戻そうとしている台湾の周辺です。毛沢東と並ぶ歴史的地位を確立するため、習近平国家主席はアジアだけでなく、欧米諸国にも同盟国を増やそうとしています。中国国内で軍事力の著しい強化が進んでいて、大規模艦隊が太平洋からインド洋周辺を回遊し、存在感をアピールしているのもそのためです。こうした情勢を受けて、バイデン大統領率いる米国はロシア、中国に対し、「専制主義国家」と位置づけ、同盟国や友好国を巻き込みながら圧力を強めています。だが、バイデン大統領が高齢であることも加わって国内での人気が高まらず、年内に行われる中間選挙で共和党に敗北するとの見方も出ています。
一方、中露は北京冬季五輪などを通じて友好関係をアピールしていて、プーチン大統領は早々と北京五輪の開会式に出席、習近平主席と対面で会談する意向を表明しています。今後、中露の軍事同盟化が進めば、NATO諸国との間で小競り合いが起きないとも限りません。こうした混沌とした情勢にも関わらず、日本の岸田政権は沈黙を決め込んでいる感じがします。台湾問題でも、中国に対して、はっきりしたメッセージを送っていないのが実情です。これまでの安倍、菅政権とは違う姿勢を明確にし、平和を守る姿勢を強調しなければ、日本の存在感はますます低下してゆくばかりです。今年は色々な意味で転換期を迎える可能性が高く、我々も事態を十分注視してゆく必要がありそうです。
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