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2022-01-18 00:00
(連載1)「敵基地攻撃能力」整備急げ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
周知のとおり、日本の周辺国、中国、北朝鮮、ロシアは、いずれも核保有国であり、核・ミサイル開発や、極超音速弾道ミサイル兵器の開発・実験・実戦配備を着々と進め、軍備の増強拡大を図っている。中国、ロシアのみならず、北朝鮮も最近「マッハ5」ないし「マッハ10」とみられる極超音速弾道ミサイルを日本海に向けて相次いで発射した。
このように、日本周辺国のミサイル兵器技術開発等が急速に進歩し、軍事的脅威が格段に増大したにもかかわらず、日本は戦後70有余年、今なお、いわゆる「平和憲法」に基づく専守防衛のイデオロギーによって、政府も、与野党も、マスコミも、国民も自縄自縛の状態にある。そのため、「敵基地攻撃能力」をタブー視して認めず、相手国からの弾道ミサイル攻撃に対する日本の安全保障は、もっぱらイージス艦による迎撃とペトリオットPAC-3による迎撃というミサイル防衛のみに依存している状況である。
しかし、中国、ロシア、北朝鮮のミサイル兵器は、極超音速、変則軌道などの特長を備え、既存のミサイル防衛技術の想定を超えつつあり、日本が配備する現行のミサイル防衛システムでは、もはや迎撃が不可能又は著しく困難とみられる。そのため、危機感を持った岸田首相は、「極超音速兵器をはじめ、弾道ミサイル兵器等の技術開発が急速に進歩した以上は、国民の命を守るため、敵基地攻撃能力の保有を含め、あらゆる選択肢を排除せずに検討し、必要な防衛力を強化しなければならない」とたびたび言及している。日本国の存立と独立、日本国民の生命と財産に全責任を負う首相として、当然の発言と言えよう。
しかし、自衛隊自体を認めない共産党は論外としても、公明党や立憲民主党も、これまで専守防衛からの逸脱(先制攻撃)等を理由に、「敵基地攻撃能力」保有に反対してきた。立憲の泉代表は、1月9日のNHK番組で、「移動式ミサイル発射台等の探知は困難であるから、敵基地攻撃能力の保有は現実的ではない」との趣旨の発言をし、改めて反対した。確かに、北朝鮮の場合も、移動式ミサイル発射台や潜水艦からのミサイル発射は探知が困難であろう。しかし、立憲・泉代表のように、移動式ミサイル発射台等の探知が困難であるからと言って、一方的なミサイル攻撃を甘受すべき理由などない。日本の存立と1億2000万国民の命にかかわる問題だからである。(つづく)
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