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2022-01-19 00:00
(連載2)「敵基地攻撃能力」整備急げ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
ならば、日本はこれに対する国際法上の「自衛権」(「国連憲章51条」参照)及び国家固有の「自衛権」に基づき反撃すべきであることは当然であろう。その名称が「敵基地攻撃」であるかどうかは重要ではない。反撃によって、ミサイル攻撃を阻止し抑止することこそが何よりも重要なのである。もし、「敵基地攻撃能力」の名称が、先制攻撃を連想させ不適切であるとすれば、単に「反撃能力」と改めればよいだけのことである。「反撃能力」は上記の通り国際法上の「自衛権」に基づくものである。このような国際法上の自衛権に基づく反撃能力の保有を、自衛隊を認める憲法観を持つ公明党や立憲民主党が反対すべき合理的理由はない。
たとえ、相手国の移動するミサイル発射台や発射基地を探知できなくても、相手国の空軍基地、陸軍基地、海軍基地、さらには相手国の政権指導中枢部、軍事指揮命令系統中枢部の探知は、自衛隊によっても充分可能であろう。したがって、相手国からミサイル攻撃を受けた場合は、これらの軍事基地に対する反撃は可能であり、相手国の軍事基地等に相当の打撃を与えることができよう。のみならず、これらの軍事基地に限らず、相手国の政権指導中枢部や軍事指揮命令系統中枢部に対する反撃はさらに有効であろう。その場合、速度の遅い巡航ミサイルではなく、速度の早い射程2千キロ以上の極超音速弾道ミサイルによる飽和的反撃は、相手国の政権指導中枢部や軍事指揮命令系統中枢部に致命的な打撃を与え得るのであり、極めて有効であろう。なぜなら、迎撃が極めて困難であるうえに、東京~北京は2100キロであり、射程2千キロ以上極超音速弾道ミサイルは北京もピョンヤンも完全に射程圏内だからである。
こうした日本の強力な反撃能力の構築こそが相手国に対する極めて有効な抑止力になると言えよう。日本は、自衛のための抑止力として、このような「射程2千キロ以上極超音速弾道ミサイル」を早急に研究・開発・実用化し、少なくとも、これを2千基ないし3千基以上、国内に配備すべきである。もちろん、多数の潜水艦からの発射も可能とすべきである。このような、日本の数千基に及ぶ強力な弾道ミサイルの配備は、近年における日本周辺国のミサイル兵器開発技術の急速な進歩により、現行のミサイル防衛が無力化しつつあるなかで、1億2千万の日本国民の命を守るための、日本防衛に極めて有効な自衛のための「抑止力」に他ならないから、日本固有の自衛権を放棄していない憲法9条(「最大判昭34・12・16刑集13・13・3225砂川事件」参照)にも専守防衛にも一切違反するものではあり得ないのである。
日米安保に基づき、今も、米国を「矛」(攻撃)日本を「盾」(防御)の役割分担を主張し、「敵基地攻撃能力」に反対する見解がある。しかし、近年における中国の経済的軍事的台頭により、米国の軍事力を含む相対的影響力が低下し、「米国に守ってもらう」という他力本願ともいうべき、日本の安全保障を全面的に米国に依存する時代は過ぎ去った。今や、日本国民には、自分の国は自分で守る気概と覚悟が求められよう。したがって、日本は、尖閣危機への対処など、対中国や、対北朝鮮を見越した「敵基地攻撃能力」の保有を含め、安全保障体制に万全を期すとともに、米国と連携協力して台湾有事への対処など、北東アジアの平和と安定にも貢献すべきなのである。(おわり)
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