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2022-02-15 00:00
カーターの懸念、日本に通底
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
2021年1月6日の群衆によるアメリカ連邦議会議事堂への進入事件から1年あまりが過ぎた。この事件に関連して、「史上最も偉大な“元”大統領」と呼ばれるジミー・カーター(Jimmy Carter、1924年―、97歳)が『ニューヨーク・タイムズ』紙に
「Jimmy Carter: I Fear for Our Democracy」
と題して論考を寄せた。その中で、「アメリカ国内の分裂、アメリカ国民間の分裂は深刻さの度合いを増している」と述べている。
拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で私が詳しく紹介しているように、アメリカ国内の分裂はドナルド・トランプ前大統領が進めたということではなく、20世紀末から進んできた国内の分裂がトランプ大統領を誕生させたのである。ジョー・バイデン大統領が誕生したからと言って、アメリカ国内の分裂がすぐに解消できるようなことはない。バイデン大統領の支持率が低迷しているのはその証拠だ。民主党内部には激しい分裂が起きている。
口でいくら「分裂を解消しよう」と述べても意味はない。アメリカ国民は自身の生活、経済状態に大きな不安と不満を持っている。また、共同体のつながりも希薄となる中で、一人では抱えきれない問題に直面しているが、助けを求めることができない。そのために攻撃的になっている。これは日本でも同じような状況だ。東京の公共交通機関での殺伐とした雰囲気がそれを物語っている。アメリカも日本も衰退が進んでいる。残念なことだが、日本は既に先進国の立場から滑り落ちつつある。
社会不安を取り除くためには、格差は仕方がないにしても、過度な格差や生活不安は解消していかねばならない。アメリカでも日本でもその処方箋は同じで、所得の上昇と再分配の強化が必要ということになる。しかし、そのための具体的な特効薬は見つかっていない。
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