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2007-10-05 00:00
円相場は望ましい水準で安定している
塚崎公義
久留米大学准教授
本欄9月7日付投稿395号で鈴木淑夫氏は、1ドルが124円から111円台になったことを「『円安バブル』の崩壊」であるとしているが、これは疑問である。為替相場が変動相場制に移行して以来、ドル相場が短期間に10円以上変動したケースは数え切れないほどあり、この程度の変動をバブル崩壊と呼ぶのであれば、為替市場はバブルの連続だということになってしまう。まして今回は、一時的に111円台となった後で115円台にまで戻しており、むしろ111円台が行き過ぎであったことを示してる。昨今の為替相場については、バブルだと騒ぐのではなく、心地よい水準で安定的に推移していること、それが日本経済の息の長い景気拡大に寄与していること、などに着目し、「望ましい」と評価すべきであろう。
円相場は、過去2年以上にわたって概ね115円から120円の間で推移しており、変動相場制移行後でこれほど為替相場が安定していた時期は大変珍しい。また、この水準は、日本の輸出企業にとって、十分に採算の取れる水準であり、貿易統計を見ても日本の輸出数量は概ね順調に拡大を続けているなど、日本経済にとって大変に居心地のよい水準である。しかも、外交という点から重要なことは、諸外国から円相場に関する批判がほとんど聞こえて来ないということである。米国の関心は人民元相場に向いている。これは、米国の対中国赤字が圧倒的に大きいということもあるが、市場への介入を嫌う米国にとっては、為替を操作している中国はケシカランが、為替を操作していない日本は問題ないということなのであろう。
もしかすると、「中国は脅威であるが、日本は既に米国の脅威とは感じられなくなっているから、バッシングの対象とするに及ばない」ということなのかもしれず、そうであるとすれば喜んでばかりいられないが、さすがに米国の対日観がそこまで変化しているハズは無いと信じたい。
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