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2022-03-08 00:00
バイデンの総花的な一般教書演説で語られなかったこと
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
2022年3月1日にジョー・バイデン大統領が一般教書演説を行った。1年間の成果を誇る演説であったが、全体的に総花的で空元気の演説だった。議場にいる連邦議員たち、特に民主党所属の議員たちは何でもかんでも立ち上がって、やけのやんぱちで拍手をするものだから、バイデンとの呼吸が合わずに、バイデンはとてもやりにくそうだった。それで同じ行を二度読んだり、「ウクライナ人」と言うべきところを「イラン人」と言い間違ったりしたのだろう。
『ザ・ヒル』のアレックス・ガンギターノ氏が「バイデンが一般教書演説の中で話さなかった5つの事柄(Five things Biden didn't talk about in State of the Union)」という2022年3月2日付の記事でバイデンの一般教書演説で語られなかった5つの重要な事柄について語っている。それら5つの事柄は「(1)学生ローン債務問題、(2)アフガニスタンからの撤退(3)ドナルド・トランプ前大統領、(4)2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件、(5)中間選挙」であった。
学生ローン債務問題は若者たちからの投票を得るための切り札のように思われるが、民主党内部でもいわゆる「借金の棒引き(徳政令)」には反対の声が大きい。若者全員が大学に行く訳ではなく、一部の若者のために多額の予算を使って借金を棒引きにするのは不公平だという声だ。従って、目玉政策とすることはできない。また、トランプ前大統領について語ることはどうしても批判ばかりとなってしまい、トランプ支持の有権者たちからの更なる反発を招くことは必至なので、それではアメリカ国内の分断を癒すというバイデン政権のメインテーマに反することになる。そして、中間選挙については今のところ厳しい情勢が続いており、語るべき言葉もないということだろう。
国内の不満から人々の目を逸らすために、外国の問題に目を向けさせるというのはどんな時代のどんな政権にとっても常套手段だ。今回のロシアのウクライナ侵攻はバイデン政権にとっては外に目を向けさせる機会となるが、欧米諸国によるロシア制裁によって、アメリカ国民の生活に大きな影響が出るというジレンマを抱えている。先日もご紹介したが、アメリカ国民の多くは対ロシア制裁を支持しているが、「自分たちの生活に影響が出る」搭乗券が付くとその数字が下がってしまう。バイデン政権にとっては難しいかじ取りが続く。
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