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2022-03-15 00:00
(連載1)プーチンに対峙するにあたって
松川 るい
参議院議員
「”Democracy fights in anger”(民主主義国は怒りに駆られて戦う) by ジョージ・ケナン」。ウクライナの戦いに呼応して、日本含め「自由民主主義陣営」の国々が日々結束を強める変化にここ数日ずっと、あの米ソ冷戦の封じ込め作戦の立案者であるジョージ・ケナンの有名なフレーズが頭の中をぐるぐる回っている。プーチン大統領は、「死に体」のNATOが、「ヘタレの」西側民主主義国が、欧州から遠く離れた日本や豪州などアジアの国々がここまで結束するとは予想しなかっただろう。それは、プーチン大統領の思考が、マキャベリズムとクラウゼヴィッツ的戦争観に支配されていて、自由や民主主義の本質を分かっていないからだ。
ゼレンスキー大統領の意外なまでの英雄的なリーダー振りと、その下で祖国を守るために団結して戦う勇敢なウクライナの人々の姿には泣きたくなるような感動とそのような状況をもたらしたロシアの軍事侵略に対す強い憤りを覚える。子供たちを含む民間人含め何千人もの人が亡くなったとの報道に胸が張り裂けそうだ。毎日のニュース、SNSは、世界中にその姿を伝え、世界の多くの国、特に西側民主主義諸国では厳しい反ロ連帯が生まれている。多くの西側諸国は対ロ制裁を強化し、ウクライナからの避難民を受け入れ、一般の人々はデモや支援やSNSなどでのウクライナへの支持の表明をし、プーチン大統領を孤立させている。
もともとこの「民主主義国は怒りに駆られて戦う(Democracy fights in anger.) 」というのは、ケナンが米ソ対立の中、米国がどういう場合に戦争をするかについて述べた部分である。なので全ての民主主義国について該当するわけでもないのだが(民主主義といってもいろいろある)、私はかならずしも地政学的利害計算に基づかない(つまり、クラウゼヴィッツから見れば馬鹿げて子供じみて見える)衝動こそ自由や民主主義を信奉する国々に共通する点であり、今回、プーチン大統領に対する勝利をもたらす要素となり、同時に、追い詰めすぎて適切な均衡を失う解決となる要素ともなると考える。長いのでざっくり要約すると、「民主主義国は平和を愛し、挑発されてもなかなか戦争に訴えようとはしない。しかし、一旦、武力に訴えなければならぬほど追い詰められ戦うことになるなら、そのような事態をもたらしたことについて相手を許さない。民主主義国は怒りに駆られて戦う。そして、敵が二度と同じことができないよう徹底的に罰を与える。」
2.プーチンという特異な独裁者
プーチン大統領は、ウクライナの中立化、非武装化によるNATO加盟の永遠阻止を企図し、計画に従って軍事作戦を推進している。しかも、リスク許容度や人間に対する残忍さが著しく高い。サイコパスなのか少し精神状態が不安定になっているのかはわからないが、まさかここまでしないだろうと我々が思った予想の全てを超えてきているのが事実だ。(つづく)
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