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2022-03-18 00:00
(連載1)ウクライナ侵略の教訓・抑止力なき国は侵略される
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
プーチン大統領による「核恫喝」(3月1日付e-論壇「百花斉放」掲載拙稿『ロシアの「核恫喝」を許してはならぬ」参照)が功を奏し、米国のバイデン大統領やNATO諸国は、「第三次世界大戦」を恐れ、ウクライナに対する軍事介入や軍事支援を躊躇している。米国は1994年の「ブタペスト覚書」でウクライナの核放棄に対し、同国の主権と安全を保障したにもかかわらず、ロシアの「核恫喝」を恐れるあまり、ウクライナをいわば「見殺し」にしている状態である。
このことは日本にとっても決して他人事ではない。なぜなら、将来、もし日本の尖閣諸島や沖縄本島が中国に侵略された場合に、米国世論の動向次第では、米国が中国との「核戦争」を恐れるあまり、日本を支援せずに「見殺し」にする可能性も排除できないからである。もともと、米国は、ロシアに限らず、核保有国に対する戦争は決してしないし、できないのである。米国政府には他の核保有国と本気で核戦争をするつもりはないのである。
その証左に、米国のキッシンジャー元国務長官は、「超大国は同盟国に対する核の傘を保障するため自殺行為をするわけはない」と述べ、ターナー元CIA長官・元海軍大将も、「もしロシアが日本に核ミサイルを撃ち込んでも、米国がロシアに報復の核攻撃をかけるはずがない」と述べている(伊藤貫著「中国の核戦力に日本は屈服する」2011年小学館306頁参照)。米国にとっては、米国の国益と米国国民の生命財産の安全が最優先であって、自国の国益と国民を犠牲にしてまで日本と「心中」することはできない。米国の立場からすれば当然のことであろう。
したがって、日本としては「核抑止力」を含め、日本の安全保障をすべて米国に依存することは危険であり、最終的には「自分の国は自分で守る」覚悟とそれを実現する英知が必要なのである。今後も核・ミサイル開発を進めるであろう中国、北朝鮮などの動向によっては、日本が核攻撃を抑止し生き延びるために、自衛のための「核保有」の選択肢を排除すべきではない。(つづく)
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