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2022-04-07 00:00
ロシアとウクライナは、どうしたら停戦できるのか
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアがウクライナに侵攻してから5週間経ったが、ロシアは攻めあえぎ、予想以上に苦戦している。プーチン大統領は明らかにウクライナの力を過小評価し、政権上層部は混乱状態に陥っているとも言われている。一方のウクライナは、首都キーウ(キエフ)周辺地域を奪還、反撃に転じているが、このまま停戦にこぎつけられるだろうか。今後の両国の展開を、明らかになっている情報を元に考えてみた。
ロシアの侵攻から1カ月の段階で、ウクライナはロシアが求める「中立化」を条件付きで受け入れる提案をした。この提案は、米英仏露中などがウクライナの安全を担保する多国間条約の締結を条件に、北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念するというものだ。これに対し、ロシアはウクライナの首都周辺から軍隊を撤収し、今後は東部や南部での戦闘に集中する方針とみられる。
そもそもプーチン大統領は、なぜこれほどウクライナを敵視するのだろうか。ロシアとウクライナは隣国であり、国民も同じスラブ系民族である。そのため、ずっと以前から兄弟のような関係とされてきた。その関係が一変したのは、1991年のソ連崩壊がきっかけだという。ソ連崩壊時に米国は、NATOを拡大しないと約束しながら、その後、拡大方針を続け、ロシアの弟分といわれるウクライナにまで触手を伸ばしているからだ。プーチン大統領は2008年にブッシュ米大統領に対し、「ウクライナは国ですらない。それを知るべきだ」と強調したとされる。ウクライナを「国ですらない」と米大統領に述べたとすれば異常な発言とも言える。その想いが反米につながり、さらに隣国のウクライナにまで影響を及ぼすとなれば、ウクライナはロシアか、米国のどちらかの影響下に入るしかないことになる。そうなると、ウクライナを巡って米国とロシアが軍事衝突するしかないという結論になる。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ウクライナはすでに8年に渡るウクライナ東部での戦争から学んだ。信じられるのは具体的な成果だけだ」として、ロシアによる攻撃の停止を促している。だが、ロシアは劣勢を挽回するため生物・化学兵器を使用するのではないかとの見方も出ていて、ウクライナは警戒を強めている。憂慮されるのは、このまま戦闘が続けば戦闘員はもちろん、民間人の死者が爆発的に増え、400万人といわれる難民がさらに増えることだ。すでにロシア軍の撤収地域から多数の民間人と見られる遺体が確認されていて、国際社会から強い批判を受けている。われわれは同じ人類として、これ以上不幸な子ども達や市民を増やしたくない気持ちでいっぱいである。とにかくロシア、ウクライナとも戦闘をいったん停止して欲しい。それから双方の指導者が直接会って、今後の対応を真剣に検討すべきだ。これ以上犠牲者を増やすのは、人類として恥ずかしいというしかない。
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