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2022-04-21 00:00
(連載1)日本共産党は「自衛隊活用」の具体策を示せ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
日本共産党の志位和夫委員長は、4月7日党の参議院選勝利・全国総決起集会において、「急迫不正の主権侵害には自衛隊を活用する」との幹部会報告を行った。それによれば、「万一、急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を行使して、国民の命と日本の主権を守り抜くのが日本共産党の立場である」(4月8日付「しんぶん赤旗」参照)というものである。これに対して、参議院選協力を目指す立憲民主党泉代表は一定の理解を示したが、日本維新の会松井代表は党綱領で違憲であると主張する自衛隊を活用するのは「ご都合主義」であると批判した。
日本共産党がこの時期にあえて「自衛隊活用」を改めて強調したのは、最近の世論調査にも示された、「ウクライナ危機」の影響による日本国民の安全保障上の不安や心配を、共産党としても無視できなくなったからであろう。なぜなら、ウクライナは日本と安全保障上の共通点が多いからである。(1)ウクライナは核保有国のロシアに近接している、(2)日本は核保有国の中国・北朝鮮・ロシアに近接している、(3)ウクライナも日本も核兵器を保有していない、(4)ウクライナも日本も「非核三原則」である、(5)ウクライナも日本も「専守防衛」である、(6)ウクライナも日本も「敵基地攻撃能力」を有しない。このように、ウクライナと安全保障上の共通点が多い日本にとって、今回の「ウクライナ危機」は決して他人事ではない。その意味で、日本にとって、核保有(「核共有」を含む)の是非、非核三原則の是非、専守防衛の是非、敵基地攻撃能力の是非が国民的議論になって当然である。
日本共産党は、党綱領四の(十三)で、「自衛隊については・・・安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法9条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」と規定しており、「自衛隊違憲」を前提としているが、今すぐ自衛隊を解消するとは言っていない。すなわち、共産党は、自衛隊が解消されるまでの間は「違憲」の自衛隊の存在を事実上認めているのである。この立場から「自衛隊活用」が出てくるが、「違憲」の自衛隊を活用することは、憲法に基づく行政権の行使とは言えず、「立憲主義」に違反すると言えよう。日本共産党のこの立場が、「自衛隊活用」がたとえ立憲主義に違反しても、国民の命と日本の主権は、立憲主義よりも、憲法9条よりも、共産党綱領よりもはるかに重大であり、最大限尊重擁護すべきであるとするものであれば、日本国民にとっては歓迎すべきことである。
しかし、今回、日本共産党が改めて「自衛隊活用」の宣言をした以上は、将来、万一、中国・北朝鮮・ロシアが急迫不正に、尖閣諸島・沖縄本島・北海道など、日本の国家主権を侵害した場合には、共産党は国を守るために自衛隊を活用してこれらの国と自衛戦争を戦うと信じてよいのであろう。その場合、自衛戦争を戦う以上は侵略した相手国を撃退しなければならない。そのためには、相手国を撃退するに足りる人的・物的な「防衛力」が必要不可欠である。(つづく)
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