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2022-05-21 00:00
(連載1)ロシア情勢にみる報道のあり方
赤峰 和彦
自営業
ロシアのウクライナ侵略戦争、日本のメディアは戦況を伝えるのはお手の物ですが、本質的な問題については何も伝えることができないように思えます。ウクライナの悲劇を目のあたりにする日々が続いています。これをしっかり見届けておかなければ、ロシアはますます狂暴になるでしょう。仮に世界中のメディアがウクライナに注目しなければ、ウイグルでやりたい放題をやっている中国と同じ状況を、ウクライナでつくってしまいます。21世紀になっても前世紀以前の蛮行を繰り返すロシアに歯止めをかけるために、ウクライナの現実をメディアが直視し、関心を持ち続けることは当然だと思います。
ただし、いまの報道はワイドショーに見られるようにゲーム感覚のニュースが多く見られ非常に残念です。そのような番組では表向きは「ロシアはけしからん」と言いながら、ウクライナの悲劇の映像を娯楽コーナーのように流しています。また、門外漢の解説者がしたり顔で論説し、コメンテーターは頓珍漢な意見を述べています。もし、日本が外国から侵略を受けた場合、世界中のメディアがその真実の一部しか伝えず、大半を日本に精通しないキャストによる解説ばかりに費やしていたら、日本国民はどんな気分になるでしょうか。ウクライナのことを自分のこととして考えたときに、不十分な解説と評論ばかりの日本の報道のあり方はこれでいいのか、ということをもっと真剣に考えなければならないと感じます。表面の取材だけでなく、物事の本質を見極めて取材し報道することで、メディアとしての存在価値をあげるべきです。そして、今がその転換点にあると思うのです。
日本のメディアにはロシアへの経済制裁は「効果がない」と言い切る見解を取り上げるメディアが多いように思います。たとえば、直近四半期決算で英石油大手のBPやシェルがロシア事業からの撤退に伴い巨額の損失を計上したことを報じる記事です。経済制裁によって実施国である西側諸国も大ダメージを受けているように見えます。
加えて、一部の経済誌や評論家は「ロシアへの経済制裁が期待したほど効かない」と述べ、さまざまな理由をつけて解説しているのですが、彼らの言うお金の流れではなく、サプライチェーン(製品の原材料・部品の調達から、製造、在庫管理、配送、販売、消費までの全体の一連の流れ)の視点から見ると、ロシアは戦車の部品から食料にいたるまで圧倒的に物不足で、戦争を継続しがたい状態にまで追い詰められているという別の視点があることに気付きます。(つづく)
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