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2007-10-16 00:00
「国際孤立恐怖症候群」外交から脱却せよ
岡本幸治
大阪国際大学名誉教授
戦後のある時期から日本外交の基本方針とされてきたものに、日米同盟中心主義と国連中心主義がある。ただ今国会では、野党は「国連決議がないから、インド洋の給油はやめろ」と言い、与党は(理由はいろいろつけているが本音では)「日米同盟に傷が付くと大変だから、給油を続けたい」と言う。この論争の主役は、国連中心主義と米国中心主義という二つの外交基本方針なのである。国連とは元来、日独を敵とした聯合国が大戦後においてもその結束を維持して世界秩序を管理したいという目的のもとにできた組織であり、これを主導した米国と国連の間に矛盾はなかったはずであるが、米ソ対立と新興独立国の加盟という新事態の進行によってその間に大きな亀裂が生じた。わが国会における現在進行形の論争は、このような亀裂の国内版なのである。
ここで立ち止まって考えてみたいことがある。対立している国連中心主義と米国中心主義は、それを支えている精神構造に着目すれば、実は出生を同じくする一卵性双生児であるということだ。戦後の日本外交における自主性・主体性の基本的欠如がそれである。外交の判断基準を外部に求めるという点で、両者は同じであり、国会の対立劇は双生児の兄弟喧嘩に過ぎないのだ。振り返ってみると戦後教育においては「戦前の日本の誤りは、(満州事変を国際社会から批判され)国際連盟を脱退して、世界の孤児になったことだ」と教えられてきた。「国際孤立恐怖症候群」外交がそこから発生した。(大東亜共栄圏の構築などという)独自の外交構想をもって危険視されてはならないと考え、与えられた国際環境のなかでいかにうまく立ち回り、経済発展を実現するかに注力してきた。その点では見事な成果をあげたと言える。
ところがこの過程で独立国に不可欠の毅然たる自主自立の精神を摩滅させ、図体だけは大きいが他者依存を恥じることのない、いびつな「コトナ(コドモから抜け出せないオトナ)」日本ができあがった。「コトナ」がオトナになることが21世紀を迎えた日本外交の根本課題であるが、そのためには「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という憲法前文の「コトナ」保護国規定からの脱却が不可欠である。「戦後体制の脱却」は、それを支える精神の改造なしには実現不可能である。
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