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2022-06-02 00:00
ヴォランティアによる対露サイバー攻撃の問題点
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
ウクライナ戦争において、ウクライナ政府のサイバー担当の若い副首相ミハイロ・フェドロフ(Mykhailo Fedorov、1991年-、31歳)は、SNSを使って情報戦を展開している。ウクライナはサイバー軍を創設し、サイバー戦争でロシア(強力なサイバー軍を保有している)に強力に対抗しているということは日本でも報道で紹介されている。ロシア国内の金融機関はインフラ施設に対するサイバー攻撃を行っている。ウクライナのサイバー軍はインターネット上で攻撃目標を公表し、世界中の協力者たち、ヴォランティアたちに攻撃を行うように「仕向けている」。
協力者たちは世界中からロシアにサイバー攻撃を仕掛けている。この攻撃に対して、ウクライナ政府は謝意を示しながらも、公式には支持しないという奇妙な態度を取っている。2022年5月3日の『フォーリン・ポリシー』誌によると「ウクライナ国家特殊通信・情報保護局のヴィクター・ゾーラ副局長は次のように述べている。『もちろん、ロシア軍とロシア政府のインフラに対する攻撃活動は全てウクライナにとって有益なものだ。私たちは公式にヴォランティアによるロシアに対するサイバー攻撃を支持することはできない。しかし、攻撃を行えるヴォランティアに感謝している』。」ということだ。
ヴォランティアたちがロシア国内の攻撃目標に攻撃を仕掛けることには感謝するが、公式に支持はできないということはどういうことか。これは、「ロシア国内へのサイバー攻撃はヴォランティアが勝手にやっているだけのことで、ウクライナ政府は支持していないし指示していない」ということだ。それは、世界中のヴォランティアたちがサイバー攻撃、ハッキングなどは犯罪行為になるということだ。ウクライナ戦争という状況下、ロシア国内へのサイバー攻撃は黙認されているかもしれないが、冷静に見れば、ウクライナ国民でもない人間がロシアへのサイバー攻撃やハッキングをすれば犯罪行為ということになる。義勇軍を気取って、安全だからということでハッキングをしているのだろうが、これは犯罪行為ということになるだろう。だから、ウクライナ政府は慫慂も支持もできないが、勝手にやってくれたことには感謝するということになる。
ウクライナ戦争勃発直後、ウクライナへ世界中から義勇兵が向かっているという報道もあった。日本からも数十人が渡航を希望しているという報道があった。しかし、日本政府は「私戦の禁止」を理由にしてそのようなことを行わないようにと釘を刺した。サイバー攻撃に参加するヴォランティアたちも同様である。従って、ロシアに対する義憤にかられるのは理解できるが、慎重な対応を行う、赤十字などへ寄付を行うなど穏健な対応をすべきということになるだろう。
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