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2022-06-14 00:00
外交と防衛は車の両輪
船田 元
衆議院議員
「外交と防衛は車の両輪」というスローガンは、全ての国において共有されるべき大原則である。もちろんどのようなケースでも外交が優先されるべきだが、防衛力無くして真の外交が出来ないことも事実である。また防衛力=軍事力を背景とした力の外交を行う場合も往々にしてある。いずれにしても常にこの二要素は、切っても切れない不可分の関係にあることは言うまでもない。今我々はそのことを再認識しなければならない。
ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、アジアにおいても中国が一方的な力による現状変更を企図するのではないか、台湾を武力により併合するのではないかと、安全保障上の脅威が高まりを見せている。北朝鮮の度重なるミサイル発射や核実験の可能性も、それに輪をかける。その備えとして政府与党内からは、防衛費を5年で倍増する案や、反撃能力=敵基地攻撃能力を保有する案など、格段に防衛力を強化する方向に意見が集約されようとしている。
去る5月23日のバイデン大統領を迎えての日米首脳会談、24日のクワッド首脳会議では、ウクライナの危機への対処と合わせて、中国を想定したアジアにおける脅威への対応が話し合われた。まさにその時に中国軍機とロシア軍機が日本周辺を共同飛行すると言う、明らかな示威行為を行った。さらにバイデン大統領が日本を離れた途端、北朝鮮のミサイル発射があった。これも非常に悪質な挑発行動である。我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさを、あらためて思い知らされた。このような状況を踏まえれば、防衛力の格段の強化や、日米同盟を揺るぎないものにすることは至極当然である。これに異を唱える気持ちは毛頭ない。しかし、北朝鮮との対話や働きかけは絶望的としても、中国との対話や話し合う時間やルートはなお残されている。話し合っても無駄だと考える人も多いが、話し合う余地は決してゼロではないはずだ。ところが政府レベルはもちろん民間レベルでも、中国との対話はほとんど行われていない。両国ともその努力をしていない。話さないことや会わないことにより、人間は相互に不信感を募らせる。国と国の関係も全く同じである。
防衛力強化は焦眉の急だが、同時に外交努力を続けることも決して怠ってはいけない。もちろん両国間の話し合いや日本からの働きかけにより、軍拡や海洋進出を進める中国の動きを変えることは、極めて難しいだろう。しかし話し合いや働きかけをしないでいては、解決の可能性はゼロに等しい。「外交と防衛は車の両輪」という万国共通の大原則を、我々はいま思い起こし、行動に移すべき時ではないのだろうか。
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