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2022-06-27 00:00
東部要衝陥落、ウクライナは対露停戦交渉に入れ
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシア軍と激戦が続いたウクライナ東部の要衝都市セベロドネツクが陥落し、ウクライナ軍部隊は撤退しつつある。ウクライナのゼレンスキー大統領が「この戦いにドンバス地方の命運がかかっている」と指摘していた戦いに事実上敗れたことから、ウクライナはロシアとの停戦交渉に動くか、それともさらに戦い続けるかの岐路に立たされている。
現地からの報道によると、セベロドネツクのストリュク市長は6月25日、「市は完全にロシアの占領下に入った」と述べ、ウクライナが同市の支配権を失ったことを認めた。すでにウクライナの大半の部隊がセベロドネツクから撤退し、ドネツ川対岸の都市リシチャンスクなどに合流しているという。ウクライナの治安関係者は「撤退は兵士らの命を守るためで、将来のロシア軍への反抗に備えることができる」と指摘している。一方、ロシア国防省によると、ロシア軍は6月24日、リシチャンスクに対して南方から攻撃し、同市を封鎖したという。ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、あくまで西側諸国から重火器の提供を受けて戦闘を継続する構えだが、西側諸国の中でも「重火器の提供はもう限界」とみる国も出始めており、ウクライナがこれまで通り重火器の援助を受けられるかどうかは微妙だ。
こうした状況の中で、ロシアのプーチン大統領は6月25日、ベラルーシを訪問し、ルカシェンコ大統領と会談した。この中で、プーチン大統領はベラルーシに核弾頭を搭載できるミサイルを数ヶ月以内に配備する方針を明らかにした。これまでプーチン大統領は核兵器の使用については明確な発言をしてこなかったが、今回ベラルーシへの核配備を明言したことで、核兵器使用が現実化する可能性が出てきたと言える。
もし、この核使用の計画が実施されれば、米国など西側の核保有国も黙って見過ごすことはできない。今後の展開によっては、第三次世界大戦が現実化する危険性もないとは言えないからだ。そういう事態にならないためにも、ウクライナは1日も早くロシアとの停戦交渉に臨むべきだろう。米国など西側諸国もこれまでの強硬路線だけではなく、硬軟両用の作戦でウクライナを支援して行くべきだ。今後、世界各国はより一層慎重な対応を迫られている。
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