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2022-06-29 00:00
(連載1)参院選争点「内部留保課税」をどう見るか
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
2022年7月10日投開票の参議院議員通常選挙において、日本共産党は大企業の内部留保への課税を主張している。それによれば、4百数十兆円にまで積みあがった内部留保を賃金引き上げや、消費税減税の代替財源とするためとして、資本金10億円以上の大企業に毎年2パーセント、5年間で10パーセントの時限的課税をするとしている。この内部留保への課税で毎年2兆円程度、総額で10兆円程度の財源が新たにできると主張しているのである。
「内部留保課税」の主張は、過去にもあった。2017年の衆議院議員総選挙では小池百合子氏が代表を務めた「希望の党」が、消費税減税の代替財源として公約に盛り込んだが、基本的なロジックは同じである。同党は批判を受けてその後軌道修正している。2021年10月の衆院選では、社民党が3年間消費税をゼロにするための財源として、大企業の内部留保に課税する政策を掲げ、今回の参議院選でも「内部留保課税」を主張している。自民党の高市早苗政調会長も2021年10月13日民放テレビ番組で、賃上げのための私案として、「現預金課税」を主張した。なぜ「内部留保課税」が選挙のたびに叫ばれるのであろうか。
まず、「内部留保」とは、貸借対照表の自己資本の一部、すなわち企業の毎年の当期純利益から、配当や法人税などを控除した残りの「利益剰余金」を指すとするのが一般的な理解だ。これはストック(「蓄積」)である。財務省の法人企業統計によれば2020年度の「内部留保」は484兆円に上っている。これはストック・ベースの「内部留保」であり、企業にとっては資本である。
資本の蓄積は現預金や金融資産だけではなく、設備投資などの実物資産も含まれる。そうすると「内部留保課税」は設備投資にも課税されることになる。設備投資は個人消費とともに景気に大きな影響を与える。それを減らすことになりかねない「内部留保課税」は、経済活動を停滞させるのではないか。(つづく)
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