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2022-07-20 00:00
(連載2)なぜ日本共産党は選挙のたびに衰勢するのか
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
このように、社会主義革命に不可欠な労働者階級の窮乏化が起こらないため、社会主義革命を目指す日本共産党の党勢が衰退するのは歴史的必然である。それは高度に資本主義が発達した日本以外の先進国においても同様で、イタリア共産党など、西欧諸国の共産党は「共産主義イデオロギー」(マルクス・レーニン主義=暴力革命とプロレタリアート独裁)を放棄し、社会民主主義政党として再出発しているのが現状である。イタリア共産党は「左翼民主党」になり、1996年中道左派連合「オリーブの木」と連携し政権を獲得した。
共産党敗北の第二の原因は「防衛力強化反対」の主張にあると筆者は考える。今回のロシアによるウクライナ侵略は、日米安保体制下の日本国民に強い衝撃と危機感や不安感を与えた。とりわけ、軍拡に邁進する中国による尖閣有事、台湾有事への懸念、核ミサイル開発を進める北朝鮮への懸念などから、どの世論調査を見ても、防衛費の増額に国民の多数が賛成している。これは、ロシアに侵略されたウクライナの悲劇を見て、国の安全保障を米国のみに依存せず自分の国は自分で守る必要性、すなわち防衛力(抑止力)強化の必要性を日本国民の多くが自覚したからである。この国民の意思は、今回の参院選で、防衛費のGDP比2%への増額を主張した自民党の大勝にも示されていると言えよう。
ところが、共産党は、ロシアによるウクライナ侵略による国民の不安感や危機感を無視し、防衛力(抑止力)強化は軍事対軍事の悪循環に陥ると称して、その強化には絶対反対である。そして、ひたすら憲法9条に基づく「平和外交」によって国と国民を守るべきと主張した。この主張は自衛隊の違憲解消と日米安保廃棄を綱領で明記する共産党としては当然の主張といえる。しかし、自衛隊と日米安保を否定し、侵略を抑止するに足りる防衛力(抑止力)を持たずに、平和外交だけで国と国民を守れると考える国民は、共産党のコアな支持層以外には少数であろう。否、共産党支持者にあってすら不安や疑問を感じたものが多かったからこそ、今回さらに得票率が低下したのだと筆者は考える。このように、共産党が、今回の参院選で得票数も得票率も獲得議席数も減少させ敗北したのは、日本国民の民意とズレが大きすぎたという点で当然といえよう。
しかし、選挙結果を受けた報道を見るに、共産党は、防衛力(抑止力)強化絶対反対と憲法9条による平和外交を主張し続ける見込みで、他国の共産党が行ったような大きな方針転換をする素振りはない。要するに、共産党には「平和外交」以外には国と国民を守る具体策がないまま、今後も同じような主義主張で選挙戦を繰り返すつもりなのである。(おわり)
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