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2022-08-09 00:00
(連載2)安倍銃撃事件に誰が引責するのか
袴田 茂樹
JFIR評議員/安全保障問題研究会会長/青山学院大学名誉教授
もちろん、現代においては職務の過失に関して命と引き換えに責任を取るということは有り得ない。今日、切腹に代るのは引責辞任である。職務の不手際を超えて、深刻な不祥事の場合、辞任が許されず解任となる場合もある。これは昔の処刑にあたるのだろうか。今回問題となるのは、しかるべき責任者たちの引責辞任である。直接現場に近い、重責を負う警備関係者の発言を簡単に追ってみる。奈良県警本部長は、報道を見ていても、事件当日は一切警護問題やその責任にはふれず、翌7月9日夕方に初めて「警護、警備に問題があった。……痛恨の極み、警察官人生で最大の悔恨だ」と謝罪した。警察庁長官は12日、「警察としての責任を果たせなかった……長官として慚愧に堪えない。責任はまことに重い」「警察庁の関与のあり方にも問題があった」と会見で述べた。国家公安委員長も12日の会見で、「警察を主管する大臣として非常に重く受け止めている」と述べ、警護警備に関する検証・見直しのための委員会を立ち上げるように指示したことを明らかにした。
全てを統括する立場にある岸田首相は、14日、「率直に言って、警備体制に問題があったと考えている」と述べ、「世界各国の要人警護の在り方などとも照らしながら、全面的に点検し、正すべきことは早急に正してもらいたい」と求めた。(一部はウィキペディアより引用。ウィキペディアの「安倍晋三銃撃事件」の項目は、出典の注だけで409項目挙げられた力作なので、実名を省略して引用した。)
内閣府の外局である国家公安委員会(国家公安委員長と国民の良識を代表するとされる5人から成り、警察庁を管理し、同庁に補佐される。)が7月21日に開催され、事件後設置された警察庁の「検証・見直しチーム」が、奈良県警幹部などから聴取した実際の警護の状況などについて報告した。国家公安委員長は、「委員からは非常に厳しい意見が出た」と述べた。私が強い疑問を抱くことがある。それは要人の警護などを職務とし、警護に直接責任がある人たちは、「警護に問題があった、痛恨の極み」とか、「警察として責任を果たせず慚愧に堪えない」「検証・見直しの委員会をつくる」などと述べ乍ら、誰も責任を負う者がいない、つまり、引責辞任をする者がいないことである。今回の大失策に関しては、責任を取るべき者が責任を取り、調査や警備体制の立て直しは、別の人物が行うべきだ。広義の本質的な責任は、「平和ボケ」の日本人全体にあるのだが。
岸田首相には大臣などの任命責任があり、大局的に国家や国家的要人の防衛、警護の責任があるとしても、今回の警察の失策に関する責任は間接的である。警察庁長官の「警察庁の関与のあり方にも問題があった」という発言は、警察庁が現場の奈良県警の要人警護体制に充分関与していなかった、と受け止められる。この事自体も、警察庁の責任である。私は要人警護に責任を負う警察関連の責任者たちが、事件後速やかにサムライとして引責辞任をすべきだったと思う。また岸田首相は国民にお詫びを述べると共に、わが国の国際的信頼回復のために全力を尽くすべきだ。市村氏が7月16日に既に「後の祭り」とか、「国葬に反対ではないが、その前にやるべきことがある筈」と、彼もやはりサムライとしての無念の言葉を述べているのが、忘れられない。(おわり)
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