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2022-08-31 00:00
(連載2)問われる日本学術会議の世界観
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
なぜこうなるのか。全体の趣旨の紹介文を見てみよう。
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ウクライナ戦争は、現在、そして今後、どのような影響を世界や東アジアの秩序、日本の進路に影響を与えるのか。この問いに答えるためには、世界の多様な視線、考え方を踏まえなければならないだろう。先進国の視点だけでこの問題が捉えられるわけではないことは重要であり、日本との関わりを考えるならばアジアの視点を理解することが必要となろう。これは、先進国でも喫緊の課題とされている、新興国、グローバルサウスとの意思疎通という点にも関わる。
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焦点が「アジア」に向けられつつ、「アジア」に目を向けることが「先進国の視点」から脱却することだと規定されているのが、ポイントだ。「アジア」が、「新興国」であり、「グローバルサウス」だ、という「世界観」のようだ。そうなると、どうやらウクライナを支援している欧米諸国が、「先進国」と定義されるようである。キーウを首都とするウクライナ国家からの視点や大多数のウクライナ国民の視点が、慎重に回避されているのは、その「ウクライナ」が「先進国の視点」に立っているからであろう。EU加盟国報告になったり、NATO加盟を目指したりするのは、「先進国の視点」を採用しようとすることであり、「新興国」あるいは「グローバルサウス」の視点から離れていってしまうことなのだ。
その点、ロシアは、EUやNATO加盟諸国という「先進国」に敵対している点で、まだ相当に「新興国」や「グローバルサウス」に近い視点を持っている、という評価になるのかもしれない。日本学術会議をめぐっては、2年ほど前に、会員候補6人の任命を、当時の菅首相が拒否したことで、話題になったことがある。その背景に、軍事関連とみなせる研究を禁止したい日本学術会議の過去の動きがあり、その中心に共産党に近い方の勢力があったことは、公然の秘密であったと言える。私も、「日本学術会議の任命拒否問題は『学問の自由』とは全く関係がない」(プレジデント・オンライン、2020年10月13日)や「菅首相が『学術会議問題』で今すぐやるべき『たった一つのこと』」(現代ビジネス、2020年10月16日)など、いくつかの文章を書いた。
マルクス・レーニン主義的な世界観をあてはめると、ロシア・ウクライナ戦争は、「先進国」と「新興国/グローバルサウス」の間で繰り広げられている戦争だ、という規定になりがちだろう。(つづく)
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