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2007-10-24 00:00
連載投稿(1)木を見て森を見ずの「給油つぶし」
杉浦正章
政治評論家
国際貢献の是非という国の重大事に、木を見て森を見ずの論議が政界、マスコミ界に横いつしている。別の表現を借りれば、指し示した方向を見ずに指先を見て、指の形を論じているのである。福田首相も巻き込まれ勝ちのように見える。いま指導者に必要なのは、確たる歴史認識に立って「給油継続」の姿勢を貫くことしかない。首相たる者、60年安保の中央突破で戦後日本の礎を築いた岸信介首相並に、まなじりを決した対応が求められると言っても過言ではない。
要するに「木」か「森」かどっちを取るかである。国際社会からようやく認められはじめた日本の国際貢献の継続を取るか、それをなおざりにして守屋武昌前防衛事務次官を取り巻く疑惑解明を先行させるのか。給油活動の早期復活をはかるのか、給油量の誤認をした防衛官僚らを一から教育し直すまで待つのか。給油問題を政局に直結させようとしているかにみえる小沢一郎民主党代表の路線に乗るのか、その手には乗らず粛々と信念を変えず給油新法を成立させるのか。国政の最優先順位は、国益を踏まえた「テロとの戦い」への参加にあることは火を見るよりも明らかである。少なくとも、同時並行で処理すべき問題だろう。
問題は野党と、一部マスコミが「給油つぶし」の思惑のもとに防衛省の疑惑・不祥事を“活用”し、給油問題と防衛疑惑を不即不離のものとして絡め、攻撃していることである。政府与党内には、はやくも形勢不利と見て、新法の成立を通常国会に先送りさせようとする動きもあるやに聞く。公明党も腹が据わっていないようだ。給油問題に守屋前次官が次官としての立場から関与していることは明白だが、ことは閣議決定マターである。給油の決定は首相をはじめ政治レベルでの問題として処理されており、一次官のレベルを超えている。従って野党が「守屋・給油」合体で国会審議を遅らせるのは、疑惑追及に名を借りた審議遅延戦術である。政府与党も今こそ全力を挙げて国民への宣伝活動を展開すべきところを、なぜか及び腰に見える。
また世論による給油支持が60~70%に達しなければ衆院で3分の2による再可決をすべきでないとの意見が自民党内にあるが、これもおかしな話だ。世論がそのような圧倒的な数字になるのを待っていては百年河清を待つに等しい。上昇傾向をたどった世論の支持も、防衛不祥事でこれ以上上がるか疑問だ。だいたい世論依存の政治なら代議制は不要になる。50%というのは立派な支持率だ。(つづく)
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