ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2022-09-15 00:00
(連載2)日本の「ユーラシア外交」:拡がれ世界の友好国
高畑 洋平
日本国際フォーラム上席研究員
安倍晋三首相(当時)は、第二次政権発足後の所信表明演説において、「外交は地球儀を眺めるように世界全体を鳥瞰し、自由や民主主義、基本的人権、法の支配という基本的な価値に立脚して戦略的な外交を展開する」と表明した。安倍はこれを具現化するべく、政権発足直後から、積極的に各国、各地域との間で、いわゆる「首脳外交」を展開した。在任期間の外国訪問回数は81回、訪問先の国・地域は176にまで及んだ。「自由と繁栄の弧」を原型とする「地球儀を俯瞰する外交」、は、日本の価値観を前面に出す、新たな価値外交と呼ぶべきものであった。
さらに、昨今、日本の外交戦略を語る上で、「インド太平洋」の視点は欠かせない。この戦略概念が初めて公式に登場したのは、2007年8月、第一次安倍政権において、安倍が「二つの海の交わり」(Confluence of the Two Seas)と題してインド国会で演説した時代まで遡る。安倍はこの演説で「太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、一つのダイナミックな結合をもたらしています。従来の地理的境界を突き破る『拡大アジア』が、明瞭な形を現しつつあります。これを広々と開き、どこまでも透明な海として豊かに育てていく力と、そして責任が、私たち両国にはある」と訴えた。その後、2016年8月、第6回アフリカ開発会議において「自由で開かれたインド太平洋」構想が生まれた。
日本外交の強みを考えた場合、多くの国と多角的な外交を展開できる点は大きなアドバンテージになる。これまで日本は、広大なユーラシア大陸の各国・各地域に対して、米国、中国およびロシアとの関係性を悪化させない調整力を駆使しつつ、外交実績を積み上げてきた。これは言い換えると、その関係を繋ぐ「架け橋」になれる潜在能力を有しているともいえる。
次なる日本外交を構想するにあたって、我々が歩むべきは、価値共有の有無を問わず、日本の友好国の輪を拡げるとともに、自国の利益を超えた「地球益」を追求し続ける、真摯な外交戦略の道ではないか。今日、岸田文雄首相は「新しい資本主義」、「新時代リアリズム外交」そして「平和のための岸田ビジョン」など、新たなスローガンや方針を掲げ、日本の針路を定めつつある。その具体像については、今後少しずつ明らかになるものと思われる。混迷を深める世界情勢のなかで、今後、日本外交はどこに向かうのか。今後の「岸田流外交術」を注視したい。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
公益財団法人
日本国際フォーラム