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2022-09-16 00:00
(連載2)「安倍国葬差し止め仮処分」申請却下の意味
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
このように、裁判所は、市民団体による本件仮処分申請について、仮処分の三要件である「当事者適格」「被保全権利」「保全の必要性」をすべて否定しているのであり、本件は法律上不適法な仮処分申請であると言うほかない。仮に、市民団体側に代理人弁護士がついているとすれば、法律専門家としてこのことを重々認識しているはずであり、本件は「訴権の乱用」ともいうべき一定の政治的目的を有する「無理筋」の仮処分申請と言えよう。
政府が閣議決定した「国葬」の法的根拠については、立憲民主党の岡田克也幹事長は、9月4日NHK日曜討論で、国の儀式であるから、立法、司法、行政の三権の承認が必要であり、本件「国葬」は法的根拠を欠く旨述べている。しかし、行政権は内閣に属し(憲法65条)、内閣府設置法4条3項33号では「国の儀式」は内閣の所管とされているから、これに基づく「国葬」の閣議決定には法的根拠がある。「国葬」は行政行為(「行政権」)に属し、行政行為には「公定力」があるから、明らかな逸脱がない限り有効であり裁量権が認められるのである。岡田氏の上記見解は形式論に過ぎず相当ではない。
上記各裁判所の仮処分却下決定も、その大前提として、政府の閣議決定に基づく「国葬」の法的根拠を裁判所も承認していることは明らかである。上記東京地裁も「閣議決定がすでに行われているから、差し止めを求める利益がなく不適法」と指摘しているのである。なお、裁判所の実務では、仮に、申立人市民団体側に代理人弁護士がついているとすれば、当該代理人弁護士及び相手方国側代理人訟務検事双方が提出した主張と事実と証拠を裁判所合議部が精査し検討したうえで、本件仮処分却下決定がなされたのである。
安倍元首相はとりわけ外交面での功績が大きい。安倍元首相提唱の「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、安全保障と経済発展を含め欧米諸国の評価が高い。今や同戦略は世界的意義を有するに至っている。これはアジア・太平洋地域における軍事大国・中国の際限なき覇権主義・拡張主義を抑制する役割も大きい。また、内政面では、日本の抑止力強化、防衛庁の防衛省への昇格、安保法制、デフレ脱却、雇用拡大、観光立国などの功績も大きい。「安倍国葬」は、安倍元首相のこれらの功績を正当に評価し、且つ国連をはじめ諸外国からの極めて高い評価に対して日本国としてなすべき重要な外交的儀式である。(おわり)
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