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2022-09-18 00:00
(連載1)ウクライナ出身下院議員のウクライナ非難
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
ウクライナ戦争は膠着状態に陥っている。ロシアに対して大打撃を与えるような方法を採らずに、ずるずると戦争を引き延ばすことで、武器商人たちをどんどん肥え太らせている。アメリカ連邦議会では予算はお手盛り状態で、ウクライナへの武器支援をどんどん続けている。連邦議員たちは「この武器はこれだけでは足りない」「あの武器を支援に入れていないのはおかしい」と言って、国防総省が要求した計画よりも過大な内容を付け加えている。これは地元にある防衛産業の利益のための行動である。「ウクライナのために」と言えば、誰も反対できない。そうした中で、予算に糸目をつけずにどんどん使いまくれる、そういう状況になっている。それなのに、戦争は終わらない。ロシアに大打撃を与え、撤退させるような方策は採らない。それには「米露対決がエスカレートするのは困る」という理由付けがなされる。結局、戦争は終わらず、武器だけがどんどん使われて、アメリカ国民の税金が浪費されていく。日本にも請求書が回ってくることになるだろう。
アメリカ連邦下院議員の中に、ウクライナで生まれ育ち、大学を卒業してからアメリカに移民した人物がいる。ヴィクトリア・スパーツ連邦下院議員(インディアナ州選出、共和党)だ。1978年生まれで43歳、当時はまだソ連の一部であったウクライナに生まれた。国立キエフ経済大学で学士号と修士号を取得後、2000年にアメリカに渡り、2006年にアメリカの市民権を取得した。インディアナ大学で会計学の修士号を取得し、会計士と不動産業者として働いていた。2017年からはインディアナ州上院議員となり、2020年の選挙で連邦下院議員に当選した。スパーツは当然のことではあるが、ロシア語、ウクライナ語、英語が堪能である。スパーツはウクライナ生まれで初めての米連邦議員となった。新人議員としてのスパーツは短気なことで有名で、議員事務所のスタッフがいつかないことが話題となった。
ウクライナ戦争開戦直後、スパーツはアメリカによるウクライナ支援を訴えた。これは当然の行動だ。戦争開始後からウクライナを6回も訪問している。スパーツの発言には一気に重みが付いた。彼女は大学卒業までウクライナで生まれ育ったのだ。親族、友人、知人のネットワークは大きいだろうし、言葉に不自由しないということは大きい。米連邦下院議員という地位もあって、ウクライナ政府からも情報が入るだろう。そして、ウクライナ政府の情報のコントロールを受けずに、ウクライナ国民の生の声を集めることが出来るということある。ウクライナに関してスパーツの発言が重要になるのは当然だった。
スパーツが「ロシアを強く非難する」「どんどんウクライナに支援を行うように求める」態度から「支援はきちんと届いているか、使われているか、汚職の温床になっていないかの監視を行う」「ゼレンスキー政権の汚職に関わっている人物の更迭を求める」という態度に変化したことで、ウクライナ政府は困惑しつつも、スパーツを非難するようになった。アメリカ政府関係者たちもスパーツの態度の変化に困惑している。(つづく)
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