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2022-09-19 00:00
(連載2)ウクライナ出身下院議員のウクライナ非難
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
スパーツはウクライナ大統領府長官アンドリー・イェルマークを更迭するように求めている。そして、興味深いことに、バイデン大統領に宛てた書簡の中で「ジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官はイェルマークを高く評価しているのを承知している」と書いている。この一文の解釈は難しいところである。しかし、ウクライナ戦争に関して、サリヴァンが何かしらの計画の立案と実行に関与している、その一部がイェルマークだと述べていると私は考えている。今回のウクライナ戦争に関して、ホワイトハウス(アメリカ大統領府)ではサリヴァン、ウクライナ大統領府ではイェルマークが何かしらの計画を立案して実行した、ウクライナ戦争を仕組んだのはこの2人だとスパーツとウクライナ国民の一部が考えているということになるのだろう。そして、スパーツの態度の変化をこれと併せて考えるならば、スパーツやウクライナ国民は当初ロシアによる侵攻ということで、愛国心に燃えて闘志を高めてロシアと戦っていたが、その内にどうもおかしいということになった。自分たちは騙されているのかもしれない、という考えを持つに至ったということになるのではないかと思う。
ジェイク・サリヴァンに関しては、昨年の米軍のアフガニスタン撤退から、その外交政策に関して批判が出ている。ここからは私の憶測だ。このようなシナリオではないかと私は考えている。ジェイク・サリヴァンはアメリカの強敵であるロシアと中国に対して、何とか打撃を与えてバイデン政権の外交政策の成功と自身への評価を高めようと考えていた。現在のアメリカの国力では中露両国を同時に相手にして戦うことはできない。そこでまず、ロシアを叩いておいて、中国に対峙しようと考えた。ロシアをウクライナに引き込んでおいて、ウクライナに徹底抗戦をさせながら、西側諸国でロシアへの経済制裁を行って、ロシアを締め上げて敗退させる。そうなればロシアとウラジミール・プーティン大統領にとっては大打撃となり、ロシア国内に付け入るスキが生まれ、ロシアを政権交代から体制転換にまで追い込むことができる。ロシアが中国から離れれば中国はユーラシア大陸で大きな圧迫を受けるようになる。クアッドにロシアを組み入れれば、中国を孤立させることができる。
しかし、実際にはロシアを早期に敗退させることができず、戦争は膠着状態に陥った。アメリカが直接ロシアと対決すれば、核戦争までエスカレートしてしまうことになるので、米軍を派遣することはできないし、高性能の戦闘機を供与し、飛行禁止区域を設定することもできない。また、西側諸国以外の国々が対ロシア経済制裁に参加しないことで、対ロシア経済制裁の効果は限定的となった。更には、エネルギー資源をロシアに頼っていたヨーロッパ諸国はエネルギー価格の高騰に苦しむことになった。頭脳明晰なジェイク・サリヴァンの完璧な計画は失敗に終わった。ヴェトナム戦争における「ベスト・アンド・ブライティスト」たちの事例が類推される。
ウクライナ戦争に関しては停戦の目途が立っていないが、一日も早く停戦することだ。それが世界のためだ。人々の興味関心は移ろう。あれだけウクライナ頑張れ、ロシアをやっつけてやると盛り上がっていた、日本国内の人々が今では統一教会と自民党(をはじめとする政界)の関係に熱狂している。ニューズは消費されるがウクライナ国民の苦難の生活は続く。(おわり)
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