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2022-09-22 00:00
性急な軍拡は近隣諸国を警戒させる
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
不戦の憲法を持つ日本、その憲法第9条には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とある。にもかかわらず、どう見ても陸軍・海軍・空軍の「戦力」と思しき組織を保持している。国葬が間近の安倍晋三元首相は宇宙軍創設まで叫んでいた。さりながら、政府が最高法規を無視しているなどとは口が裂けても言えないので、保持するミサイルの射程を短く自主規制するなどして陸・海・空自衛隊は侵略的でないとアピールしてきた。トゲで身を守る「ハリネズミ」のように自ら攻撃はせず、攻撃してきた敵には針の鋭さを痛感させる、言うところの「ハリネズミの平和主義」である。これが自衛隊のあり方であると語ることで日本国憲法との矛盾を回避してきた。日本国政府は、長々と国民と世界とを欺き続けてきたのである。
こういう論理を国民に説き、外国にも語ってきた。しかし、ハリネズミの針も年とともに伸びるらしく、あれから70余年を経った昨今になって、ついにハリネズミの針先が朝鮮半島や渤海湾辺りまで伸びてきた。こうなると隣国各国もうっとうしくなるのだろう、さかんに昨今は牽制球を投げてくるようになった。「防衛省は8月31日、2023年度予算の概算要求を決定し、過去最大の5兆5947億円を計上した。金額が未定の『事項要求』を多数盛り込み、年末の予算編成でさらに膨張するのは確実だ。中国本土を狙える長射程ミサイルの量産化など敵基地攻撃が可能な武器取得を列挙。政府は敵基地攻撃能力保有の是非を年末に判断するとしているが、国民的議論の前に保有を既成事実化させている」(2022/09/02、東京新聞)。
ハリネズミの針は、それが他者との間に十分な間隔が開けられているからよいのであって、針を伸ばし放題伸ばして他人様の住処に届くほどに伸ばして行っていつその針を差し込まれないとも限らないと隣人に思われたら、小競り合いへと発展していくこと間違いない。敵基地攻撃能力の獲得については、中国・朝鮮は言うに及ばず、かつて「八紘一宇」「大東亜共栄圏」などと言いながらやってきて、やがて「石油だ、ボーキサイトだ、椰子油だ」と資源を持ち去った日本が再現するかもと人の好い東南アジアの人たちまでもが警戒を始めるのではないだろうか。
「死せる孔明、生ける仲達を走らす」の三国志よろしく、死せる丞相ならぬ死せる首相が平和主義者のはずの現首相を走らせているのだろうか。近頃、岸田氏はさかんに軍拡を唱え、すでに防衛費の大幅増額を唱えている。これこそまさに「死せる晋三、生きる文雄を走らせる」のだが、なぜ他国を警戒させる軍拡を性急にするのか、議論がなされておらず説得力が伴っていないのではないか。
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