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2022-09-27 00:00
(連載2)世界の中絶問題を考える
濱田 寛子
産婦人科医師
人工妊娠中絶術は、当事者の女性と手術をする産婦人科医師が法で守られないと、合法でできなくなる。非合法となると、地下に潜ってしまい、安全性が保てない。確かな技術と薬剤に守られないと、女性は生命の危険にさらされる。2008年の非合法中絶で世界では47000人が命を落としている。非合法中絶は62%はアフリカで発生し、母体死亡は10万中絶に対し460人も死亡している。また、中絶に関する法律が厳格であればあるほど、母体死亡数が上がることがわかっている。非合法中絶は危険なのである。
そもそも、中絶率はその社会が望む家族の大きさと効果的な避妊へのアクセスに左右される。社会が望む家族の大きさは、教育や経済状態に左右されるであろう。世界で一番中絶率(中絶件数/出産数)が高いのはロシアで40%を超える。次がルーマニア、スウェーデンと続く。日本は20%を切っていて、世界の中では高い方ではない。
日本では、道義的に中絶=悪といった風潮がある。しかし、中絶を選ぶ女性は、喜んで安易に選んでいるわけではない。レイプや胎児疾患、経済状況など様々な理由がある中で、当事者である女性の選択なのである。適切なケアと技術で安全な中絶は日本では可能になっている。社会の望む家族の大きさは、各国それぞれだが、SRHRの充実は世界中に必要とされる喫緊の課題である。
時に、政治や宗教に左右されて、女性の幸せと安全が担保されない国々があることは、人口問題に端を発し、食料、資源、環境に影響を及ぼし、紛争から戦争に進んでしまわないか危惧する。中絶は善ではないが、悪でもなく必要なものである。男女がいて、生きていくために、社会の望む家族の大きさを実現することを可能にする。アフリカを始め世界中に、避妊や中絶へのアクセスを合法化させていく必要性を、訴えたい。(おわり)
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