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2022-10-05 00:00
(連載1)先進諸国で高まる国内の不満と社会不安
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
世界規模での食糧価格とエネルギー価格の高騰は続いている。あらゆる商品の値上げが続き、経済はインフレイション状態になっている。好景気の結果としてのインフレイションならば物価上昇率を給与の上昇率が上回り好循環となるが、日本の場合は給料が上がらない中で物価だけが上がるということになり、人々の生活は苦しくなり、社会は不安定になる。社会が不安定になれば、体制に対する不満から騒擾や暴動、戦争が起こりやすくなるというのは歴史が示している通りだ。
社会不安からの騒擾、体制転換について思い出すのは、2011年の「アラブの春(Arab Spring)」と呼ばれた、アフリカ北部、サハラ砂漠以北(Sub-Sahran)の国々で起きた大規模な反政府デモと体制転換にまで行きついた出来事である。アラブの春によって各国の独裁者たちは排除されることになった。非民主的な体制から民主体制へと移行することを「民主化(democratization)」と呼ぶ。
民主化というのは素晴らしいもののように思われる。確かに独裁体制や王政の圧政から人々が解放され、人々の意思が政治に反映されるということは素晴らしいことだ。しかし、多くの場合、民主化の陰には大国の思惑がある。現代で言えばアメリカの思惑がある。アメリカはデモクラシーのチャンピオンとして、「世界中にデモクラシーを拡散する」という使命を持っているのだと考える人は多い。そして、「世界中が民主国家になれば戦争は亡くなり平和になる」という「民主平和論(democratic peace theory)」という考えが出てくる。しかし、現実はそのようにはうまくいかない。
アラブの春を例に取れば、一般の人々による自発的な、下からの民主化に向けた動きということになっている。しかし、拙著『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所)で明らかにしたように、米国務省とビッグテック(2011年当時にはこの言葉は一般的ではなかった)のツイッターとフェイスブックが関与したものである。計画的なものであった。アメリカは自分たちが民主化したいと考える国々の社会不安を利用する、もしくは社会不安を引き起こすということをこれまでやってきた。(つづく)
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