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2022-10-07 00:00
響かぬ演説と下がり続ける内閣支持率
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「毎日新聞と社会調査研究センターは17、18の両日、全国世論調査を実施した。岸田内閣の支持率は29%で、8月20、21日の前回調査の36%から7ポイント下落した。内閣支持率が30%を切るのは、2021年10月の政権発足以降初めて。前回調査でも前々回比で16ポイント減少しており、下落傾向が続いている。不支持率は64%で、前回(54%)より10ポイント増加した」(2022/09/19 毎日新聞)。その岸田氏は20日、国連総会で演説し、ロシアのウクライナ侵攻という国連憲章の理念と原則が無残に破壊され、国連はかつてない信頼性の危機に立たされている、安保理事会の改革に向けて必要なことは「議論のための議論でなくて改革に向けた行動だ」と述べた、という。
特に岸田氏は、プーチンロシア大統領の核による威嚇は国際の平和に対する深刻な脅威であって、世界で唯一の被爆国としての使命感をもって『核兵器のない世界』の実現に向けて『取り組み』を進めてまいる所存である」と、大所高所から「演説」したという。さらに、彼は次期国連非常任理事国に選ばれた日本の立場として「(安全保障理事会)条文ペースの改訂を目指し、国際社会における『法の支配』について強化するべく<行動>する」とまでも述べたという。その言や益々良しである。
こんな立派な演説をする岸田氏の自国における国民の信頼度は上記のごとく実にパッとしない。その原因は奈辺に有るのであろう。おそらく、彼の発言のすべてが優等生の作文コンクール作品のようにしか自国民には聞こえないためであろう。上記演説についていえば、国連総会議場でそれこそ2,3の国を除いて圧倒的な数の参加国は、腹の内外を問わなければ、彼の演説について賛意を示したであろう。しかし、かく語った岸田氏は核兵器の廃絶について、被爆都市の出身を定冠詞につけながらなお、オブザーバーとしてすら「核禁条約」加盟国会議に参加するのでもなく、国内世論を高めようというのでもなく、原子力利用を盛んにし、世界屈指のプルトニウム保有国家として将来への核兵器所有の可能性すら残そうとしているように見受けられる。それだけではない。氏は、国連演説の平和志向を裏付ける強い軍縮志向や信念を有するわけでもなく、却って国内防衛予算の倍増計画を来年度予算に取り入れようとさえしている。ことほど左様な二枚舌を「誠心誠意」語るところに、この人に対する国民の不信感が支持を上げ得ない要因になっているのではないだろうか。
一蓮托生岸田氏の与党自民党の支持率も前回(29%)から6ポイントも低下し23%だった(毎日新聞同上)。こちらは世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題やこれと因縁を持つ昨日の安倍晋三元首相の国葬の強行などが影響してもいるのであろう。内憂外患の困難な時代にあって、岸田内閣は国民に拭い難い政治不信を持たれてしまった。過去10年余、この国と人民は、政治指導者に人を得ない「国難」に苛まれている。
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