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2022-12-20 00:00
保育園での園児に対する虐待は日本社会の縮図
猪野 亨
弁護士
裾野市で起きた園児に対する保育士による虐待は酷いものですが、これは誰もがいうように氷山の一角です。日本中、あちこちで起きているだろうことは容易に想像ができます。園児であれば自分で証言することができません。内部告発や園児が大けがをしない限り表沙汰にはなりにくい構造があるからです。介護施設での虐待も同様です。ただやはり同じ虐待でも園児に対する虐待は絶対に許し難いものがあります。
これらで言われているのは、1人の保育士が担当する園児の人数が多すぎることです。欧米に比べれば顕著(日本では1~2歳児で6人ですが英国では3人、ドイツのベルリンでは3.6人)、職責の重さに比べて賃金が低すぎるのです。仮に内部で問題がわかっても、園側では問題のある保育士を辞めさせることによって人手不足となるために辞めさせること自体ができないという悪循環があるという指摘もあります。また、他の保育士がやっていることについては口を出さないという風潮があるという指摘もあります。しかし、他の保育士がやっていることに問題があれば当然のことながら見て見ぬふりというのは全くもって間違ったことです。それぞれのやり方、流儀がある、だから相互にそれを尊重するというのは聞こえがいいですが、日本社会に蔓延する事なかれ主義の最たるものです。黙っていた保育士も同罪であると考えます。
園長(経営者)は、内部告発しようとした人に土下座して隠匿しようとしたということです。もはや人としてどうなのかと思いますが、それはともかく土下座されて黙ってしまうのであればあまりに日本人的。園内の職員が内部告発を決断するには、確かに重たいものがあったと思います。しかし、当然のことをしただけなのです。面と向かって言えないのであれば内部告発という手段を用いたということすが、黙っていてはダメです。それは学校教育の中での体罰問題も同じ構造があります。悪貨が良貨を駆逐することの例え通りのことが、日本社会に浸透しています。この根底には保育士も教員も人材不足があります。なり手がないのは致命的です。教員志望者も減少の一途、質の問題が懸念されていますが、日本社会の劣化が心配されます。
出すべきところには税金を使ってでも人材は確保する、それが当たり前なのに、それができない日本社会は衰退に向かっています。特に少子高齢化社会到来という中で出生率を上げたいと言いながら、それに見合う政策はなし。出産一時金を42万円から50万円にするという程度の貧弱な政策で何が変わるというのですか。防衛費の増額はたちどころにその実現を宣言し、実行するのにです。歳出見直しも言い、それでは足りず増税まで言い出すのに、子育てに関わる予算については空約束ばかり。最初からやる気がないわけです。自民党政権であり続ける限り、日本社会の劣化は止まることはありません。
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