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2023-03-30 00:00
子供は楽しんではいけないという教育病
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「春を呼ぶセンバツ高校野球」に呼ばれたか、桜の花が早咲きし、兄貴分の日本プロ野球選手たちのWBC世界選手権優勝が絢爛豪華な舶来の花を添え、一段と華やかな春とは相なった。
18日開幕の第95回センバツ高校野球大会は、山梨学院対宮城の東北高校で開幕した。その熱戦の一回表、東北高校の先頭打者は相手遊撃手のエラーで出塁し、一塁上で「ペッパーミル・パフォーマンス」なるものを披露したところ、一塁ベースに駆け寄った一塁塁審から「ダメ!」と注意されたという。さすが若い人は影響を受けやすい。この「ペッパーミル・パフォーマンス」とは、同時開催中のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)において日本代表選手のヌートバー選手(カージナルス)が見せた胡椒挽きを回すシグサ。ハッピーな状況を表現するパフォーマンスで、好調を持続した日本チームの選手一堂に普及し、決勝戦までこの仕草が続いて優勝を導いたほど効果抜群の仕草。
これが、若い高校生に伝染しない方がおかしい。早速、上記の「彼」は甲子園の一塁でお披露目に至った。しかし、少国民が神聖な甲子園大会場でこんな今を流行りのパフォーマンスをやるのは怪しからんと思ったかどうか?塁審はとっさに反応したようである。
これに対し、東北高校監督の佐藤洋さんは報道陣に対し「僕は(注意には)大反対。もう少し子どもたちが自由に野球を楽しむということを考えてもらいたい」と語った(2023/03/19 朝日新聞)という。報道によれば、「大会本部は、『高校野球としては、不要なパフォーマンスやジェスチャーは、従来慎むようお願いしてきました。試合を楽しみたいという選手の気持ちは理解できますが、プレーで楽しんでほしいというのが当連盟の考え方です』との日本高校野球連盟のコメントを発表した」(同上)
どうも「一所懸命」を美徳と固執する日本の大人たちは、子供が目的外?に楽しむのは教育上よくないと思っているらしい。独創性を競う世界で連戦連敗の源因はこんなところに有るのかも知れない、と筆者は記事を読んでいて気が滅入ってきた。
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