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2023-04-07 00:00
世界トップクラスの日本国海上自衛隊の実力
加藤 成一
外交評論家 (元弁護士)
長期化する核保有国ロシアによる帝国主義的な国際法違反のウクライナ侵略、アジア太平洋地域の覇権を米国から奪おうと目論む核保有国中国による南シナ海、東シナ海、西太平洋への際限なき海洋進出、日本に照準を合わせる核保有国北朝鮮による潜水艦等発射型核ミサイル開発など、日本をめぐる安全保障環境は悪化の一途である。これに対応するため、岸田政権は「反撃能力保有」「防衛費増額」などの防衛力の抜本的強化に乗り出した。日本国および日本国民を守るための極めて妥当な戦後防衛政策の大転換であると言えよう。
これに対して、共産党などの一部の野党は、日本を憲法違反の危険な「戦争国家」にするものだ、などと激しく反発し、軍事対軍事の悪循環に陥ると称して、防衛力強化に絶対反対し、ひたすら「平和外交」を金科玉条のごとく唱えている。しかし、「平和外交」を唱えるだけでは到底国と国民を守れないことは、以下に述べる世界の歴史が証明している。
これまでの世界の歴史を見れば、防衛力の脆弱な国が侵略の餌食となってきたことが分かる。第二次世界大戦のナチス・ドイツによるポーランド侵略、中国によるチベット侵略、ソ連によるアフガニスタン侵略、イラクによるクウエート侵略、ロシアによるウクライナ侵略など、枚挙に暇がない。このことから、国家と国民を侵略から守るためには、侵略を抑止するに足りる防衛力の強化が必要不可欠であることが明白である。
幸い、日本の防衛力は、歴代自民党政権の尽力により、核兵器を除けば世界トップクラスであると言えよう。とりわけ、日本国海上自衛隊の実力は中国海軍を上回り欧米のメディアや有識者の間では「アジア最強」と評価されている。その理由は、日本が「そうりゅう型潜水艦」「イージス護衛艦」「いずも型ヘリコプター搭載護衛艦」「F15戦闘機」などの優れた防衛装備と、これらを運用する最高の練度を保有しているからである。
「そうりゅう型潜水艦」は通常型潜水艦として世界一の性能を誇り、魚雷攻撃能力は伝統的に対潜攻撃能力が脆弱な中国にとっては大きな脅威である。日本は「そうりゅう型」12隻「おやしお型」11隻、「たいげい型」1隻の24隻保有している。1982年のフォークランド紛争では、南太西洋に潜航させていた1隻の英国原潜の魚雷攻撃でアルゼンチン海軍最大の戦艦が撃沈されている。米国の攻撃型原潜3隻あれば、魚雷攻撃により台湾海峡のすべての中国艦船を撃沈できるほどの威力がある。
「イージス護衛艦」は、イージスシステムを具備するミサイル搭載型護衛艦であり、強力なミサイル防衛能力を持つ。イージスシステムは遠くの敵機を正確に探知できる索敵能力、迅速に状況を判断・対応できる情報処理能力、一度に多くの目標と交戦できる対空射撃能力を持つ画期的システムである。この画期的システムを備えた「イージス護衛艦」は最強である。日本は現在8隻保有し12隻保有を目指している。中国・北朝鮮・ロシアはイージス艦を全く保有していない。
「いずも型ヘリコプター搭載護衛艦」は自衛隊が導入予定のf-35戦闘爆撃機を搭載して空母としての運用が可能である。日本は「いずも」と同型の「かが」「ひゅうが」「いせ」の「空母4隻体制」であり、日本国海上自衛隊は「アジア最強」(2017年米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」参照)と評価されている。
「F-15戦闘機」は日本国航空自衛隊の主力戦闘機として約200機配備されている。改良が重ねられすべての中国機に対して対等以上の戦闘力を有している。日本はさらに高性能の「F-35戦闘機」を導入する。そのうえ、岸田政権が導入する長射程ミサイル等を含む「反撃能力」の保有は、日本の防衛力・抑止力を一層強化するであろう。
このように、日本の防衛力とりわけ日本国海上自衛隊の実力は核兵器を除けば世界トップクラスであるが、軍事技術の発達は日進月歩であるから、今後も防衛力の充実強化を怠ってはならない。しかしながら、日本の防衛上の最大の弱点は、日本が核兵器すなわち日本独自の核抑止力を保有していないことである。今後も日本が国を守る自衛のための独自の核保有が困難であるとすれば、「核の傘」だけでは不確実であるから、せめてドイツ、イタリア、ベルギーのように米国の核兵器を日本国内に配備しこれを有事の際に共同で運用する「核共有」(ニュークリア・シアリング)の導入実現が必要不可欠である。早急に日本政府は米国と導入に向けた協議を開始すべきである。
ロシアは隣国ベラルーシと戦術核配備の合意をしたが、これも一種の「核共有」であり、今後は小国ベラルーシを侵略する国は皆無となるであろう。それほどに「核共有」の核抑止力としての効果は絶大なのである。
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