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2007-11-05 00:00
死刑制度を考える
大藏雄之助
評論家
死刑は判決確定の日から6箇月以内に法務大臣が刑の執行を命令しなければならないと、刑事訴訟法第475条に定められている。しかし、その条文に反して、在職中に一件も命令をしない法相もあり、現在では刑の執行までに平均して7年以上を要している。先ごろ鳩山法相が、「死刑が確定して半年を経過したら大臣の署名なしで刑を執行するように法律を改正したい」と発言したが、「死刑の執行は慎重であるべきだ」という異論があり、政府としては従来通りという意志決定をした。
この議論は間違っている。慎重であるべきなのは死刑の判決を下す裁判であって、執行ではない。すでに裁判官の死刑の適用は慎重すぎるほどで、複数の犠牲者を残酷な手段で殺害した場合にほとんど限定されている。
死刑廃止は国連で勧告されており、世界の大勢となっている。一部の国では「目には目を」の法則によっていまだに公開処刑が行われているが、アメリカでも幾つかの州では死刑を廃止するか、すでに長期間執行を停止しており、先進国の中では日本は例外的な存在である。わが国では殺人事件の抑制を期待するとともに遺族の心情を考慮して、世論はこの極刑の存続を希望している。
イギリスはEUの決定にしたがって死刑を廃止したが、それ以前は重大な国家反逆罪と、制服を着用して公務を執行中の警察官を殺害した犯人に対してのみ、無条件で死刑としていた。事実上死刑を廃止していた最も大きな理由は、「将来万一新たに証拠が発見されても、刑の執行後では取り返しがつかない」というものだった。
死刑が残酷な刑であるか否かについては諸説がある。真に罪の償いをさせるためにはむしろ長期の懲役刑によって悔悟反省させるべきだという意見もある。ただ、現行の無期懲役刑では20年程度で釈放され、さらに犯罪を重ねる例もあるから、死刑を廃止するとすれば、諸外国のように終身刑や加重刑を取り入れる必要があろう。
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