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2023-06-22 00:00
久しぶりの韓国:日本は負けている!
舛添 要一
国際政治学者
韓国の新聞社が主催する日米韓フォーラムに参加するためである、5月23日から26日まで韓国を訪れた。新型コロナウイルス感染症の流行で往来が規制されていたので、久しぶりのソウルである。韓国の経済成長は進んでいると考えてよい。もちろんウクライナ戦争の影響で最近は諸物価が高騰していることは世界各国と同じであるが、2021年の韓国の経済成長率は4.15%であるのに対して、日本が2.15%である。実は、ウクライナ戦争以前から韓国のほうが日本よりも経済に勢いがあったし、今もそうである。
21世紀になってから、経済成長率は、常に韓国のほうが上である。たとえば、7.73% vs 0.04%(2002年)、3.69% vs 0.02%(2011年)、2.91%vs0.64%(2018年)といった具合である。さらに言えば、韓国では物価上昇以上に賃金が上がってきたので、国民の生活が向上してきたが、日本では逆で物価上昇に賃金が追いついていない。そのために生活が豊かにならないのである。日本経済研究センターの試算によると、一人あたりのGDPは、2022年は日本が3万3636ドルで、これは台湾の3万3791ドル以下である。2023年は、日本が3万3334ドルで、韓国の3万4505ドルに抜かれるという数字が出ている。韓国が、台湾、日本を追い抜くのである。韓国は、半導体、電池、電気自動車、コンテンツなどの先端分野に大胆な投資を行っており、その効果が出てきたのである。それが生産性の向上に繋がったと言えよう。今、日本も政府の支援で半導体産業に梃子入れしているが、台湾や韓国を巻き返すのは容易ではない。
コロナ流行前から、韓国に行くたびにデジタル化の分野で韓国が日本より先に行っているのを実感していたが、今回、その思いをさらに強めている。ホテルに滞在しても、スマホを使用しても、日本でよりも韓国でのほうが、はるかに使い勝手がよい。タクシーもEV化が進んでいる。韓国は、デジタル化のためのインフラ整備で世界最高の水準に達している。それに比べて、マイナンバーカード騒ぎに見られるように、日本の遅れは致命的である。また、K-popをはじめ、韓国のエンタメ産業の発展も目覚ましい。この分野も韓国の重要な輸出産業となっている。日本ではジャニーズ事務所関連の不祥事が明らかになっているが、残念なことである。韓国では、全国から広く新人発掘に全力を上げるために、公募で競争させ、選抜するシステムが確立しているという。
韓国の最大の問題は少子化である。少子化には日本や中国も悩んでいるが、2021年の合計特殊出生率は、韓国は0.81、中国は1.16、日本は1.30である。韓国は、まさに桁違いに低く、2022年暫定値は0.78である。この傾向が続けば、2700年頃には韓国は消滅すると言われている。少子化の原因は様々で、日本の要因と共通なものも多い。子育てにカネがかかりすぎたり、未婚化や晩婚化が進んだりしたりしていることなどである。政府も対策に全力をあげているが、若者の意識は変わりそうもない。深刻な問題である。
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