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2023-08-02 00:00
バブルがはじけ失われた30年が始まっている中国経済
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
中国の経済は完全におかしくなっている。中国経済というのは、基本的にはすべて国が管理している。そもそも市場経済などもすべて政治が管理し介入しているのであり、なおかつ、政治的な事情で貿易を突然止めてしまったり、あるいは許認可が出なかったりというようなことばかりである。要するに、政治的な介入があって経済の自由がないということになるのである。日本の場合はバブルがはじけるのは、1992年くらいのことである。それまで行われていた「土地関連融資の抑制について」(総量規制)に加えて、日本銀行総裁三重野康による金融引き締めは急激なものとなり、信用収縮が一気に進んだ。三重野総裁は、サラリーマンの年収5年分でマイホームっを持てるようにするとして、金融引き締めをきつくした。政府は、日銀の公定歩合の急激な引き上げに続き、不動産の総量規制、地価税の創設、固定資産税の課税強化、土地取引きの届け出制、特別土地保有税の見直し、譲渡所得の課税強化、土地取得金利分の損益通算繰り入れを認めないなどの対策を打ち出していった。前年の1989年に導入された消費税も、経済実態に鑑みると導入が遅すぎたこともあり、結果的にこの金融引き締め策は失敗に終わった。
またバブル崩壊後の政治状況は、1992年の東京佐川急便事件に端を発した金丸信の議員辞職、経世会分裂、小沢一郎の新生党旗揚げなどの政界再編、細川政権誕生による55年体制の崩壊と政治改革、その後の細川首相の電撃辞任と羽田孜の短期政権、さらに自社さ連立政権による村山富市への政権交代など、政権が転々として混迷をきわめており、政府はバブル崩壊後の経済状況に十分な対応ができなかった。要するに、バブル経済ということは財テク(株式投資など)をしていなければ通常の給与所得ではうまくいかなくなってしまい、そのうえでそれを政府が規制すると、そのまま給与所得レベルの経済レベルに下がってしまい、それまでのバブルの負債が大きく影響し、復活しなくなる。そのうえで、その経済の低迷によって多くの人が守りに入ってしまうことから、徐々に低迷する経済が継続する。まさに「失われた」という状況になるのである。
その状況がいま中国経済に訪れているのである。中国の場合は、そもそもバブル経済が起きたのかどうかということの判断は難しい。自由経済ではない国において、政府が作り出した経済的なバブル、つまり「その政府系のやらせのバブル」では、話にならないのではないか。そのような中でそのバブルがはじけていても仕方がないのではないか。その政府系のバブルが、コロナウイルスとゼロコロナ政策によって完全にそのバブルが終わってしまっている。そのうえ恒大集団などの倒産というか取り付け騒ぎがある。日本のバブルでいえば、上記のように不動産販売の数字も低迷し、また、商社物価指数も横ばい、そのうえで、この恒大集団の内容は、日本のバブル崩壊の三重野総裁の内容のようになってしまう。まさに「この道はいつか来た道」なのである。
中国の場合は土地はすべて共有財産である。つまり、その共有財産に対しては資産価値はない。要するに上物の建物でしか担保価値はないというこということになってしまい、そのうえものであるから壊されてしまえば価値はゼロになってしまう。そのことがより一層バブルを大きくしてしまう。つまり、今まで投資してきたものに対して、壊してしまえば完全にゼロになってしまうということが、保障や担保価値のない投資がまかり通るということになる。これは、中国国内における「投資システム」そのものが信用を失う。中国のように「史的唯物論」の国は信用などのものは全く関係ないと思っているかもしれないが、しかし、そもそも投資というのは信用によって成立するのである。その信用がなくなってしまえば、投資そのものがおかしくなる。要するに中国は、「投資不適格」ということになってしまい、すべての投資に対して「投資が集まらない」というようなことになるのである。まさに、「失われた30年の入り口」なのである。しかし、なぜか日本の企業はそのような中国に関しても投資をしようとしている。中国の真実が見えていないということが最大の問題なのである。日本の企業は、そして日本人はもう少し「世界の真実を知るべき」であろう。
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