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2023-09-27 00:00
ロシアとウクライナの停戦に向け、日本も行動すべき時ではないか?
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアがウクライナへ侵攻してから早くも1年半が経過し、ウクライナ国民の窮状と西側諸国の「支援疲れ」が目立っている。肝心の米国も与党・民主党と野党・共和党の足並みが乱れつつある。このままでは、二度目の冬を目前にして、ウクライナの敗戦が現実的にならないとも限らない。
ウクライナのゼレンスキー大統領は9月19日から侵攻開始後、2回目の米国訪問を行い、バイデン米大統領を始め、有力者と会談して窮状を訴えた。バイデン大統領は21日の会談で「ウクライナの主権と領土保全を尊重し、恒久的な和平を支持している」と長期支援を約束した。だが、共和党トップのマッカーシー下院議長は、ゼレンスキー氏とテレビカメラの前に一緒に立つことさえ避け、支援継続に懐疑的な姿勢を見せた。米国の世論も徐々にウクライナ支援に批判的になっている。CNNの7月の世論調査では、ウクライナ支援の追加予算を「米議会は承認すべきでない」と回答した人が55%を占め、共和党支持者では77%に上った。こうした流れが来年の大統領選に影響しないはずがなく、バイデン政権も頭を痛めているに違いない。
一方、ゼレンスキー大統領は国連総会での演説では「私たちは団結しなければならない」と、世界に向かって訴えた。だが、昨年大統領が演説した時に起きたような、参加者全員が立って拍手するスタンディングオーべーションは見られなかった。世界各国の雰囲気が変わりつつあることを象徴しているように感じる。とりわけ目立ったのは、台頭する新興国や途上国の多くで、ロシアと西側諸国の対立に距離を置く動きが強まっていることだ。こうした国々の代表格のルラ・ブラジル大統領が演説で、和平交渉の開始の必要性を訴える一方、米欧による軍事支援を念頭に「大金が開発にほとんど使われない」と不満を示した。
では、日本政府はどうか。岸田首相の言動からは、こうした世界の動きが反映されているとは到底思えない。ロシア批判一辺倒では、世界の流れから大きく離れていくことが目に見えている。首相が自ら外交を主導したいというなら、ロシアと西側との和平交渉開始に向け、独自案を提案すべきではないだろうか。
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