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2023-10-06 00:00
バイデンスキャンダルを裁くアメリカの司法
村上 裕康
ITコンサルタント
大統領選挙2024を控えて、バイデンを支持する民主党とトランプを支持する共和党の間で大統領選挙の前哨戦が激しくなっている。大統領選挙2024のスケジュールを見計らうように、民主党は、トランプを立て続けに4件の起訴をした。重罪も多数含まれ、すべてで有罪になれば、717年の禁固刑が科される可能性がある。トランプは次の4件で起訴されている。①元ポルノ女優に「口止め料」支払いをめぐるビジネス記録改竄、②機密文書を自宅に持ち出し、不法に取り扱った疑いで、スパイ防止法違反他、③連邦議会襲撃事件を巡って、アメリカを欺くための共謀を図った罪、④2020年の大統領選挙でジョージア州の選挙結果を不正に覆そうとした罪、で起訴された。来年7月の共和党全国大会を控えて、4件の公判のスケジュールと重なって、トランプは厳しいスケジュールの調整が迫られている。「口止め料」支払いを巡る事件の初公判は来年3月の予定であり、機密文書の取り扱いを巡る事件の初公判は来年5月の予定である。トランプ弁護団は公判の先延ばしを要求しているが、ジョージア州のファニー・ウィリス検察官は大統領選挙日直前の10月23日の公判を要求している。議事堂襲撃事件の公判期日を巡っては、トランプ弁護団は膨大な裁判資料を精査する必要があることから2026年まで先延ばしを要求した。しかし、ジャック・スミス特別検察官は公判を急ぐように要求した。公判を担当するターニャ・チュトカン判事は、予備選挙が集中する2024年3月5日のスーパーチューズデイの前日の3月4日に公判日時に設定した。共和党候補者を選ぶ予備選挙のヤマ場に公判日をぶつけてきた。チュトカン判事はオバマが任命した急進左派の判事で、首都ワシントンの連邦地裁判事である。公判は民主党支持が大多数のワシントンで行われることから、陪審団の構成も民主党に有利である。公判期日は未定であるが、11月5日の投票日前に有罪・量刑が言い渡される公算が濃厚である。もし有罪の判決が下されたら、トランプは控訴することを明言している。
大統領選挙2020年の終了後ほとんど何もせず、今になって大統領選挙2024年のキャンペーン期間にタイミングを合わせるように、4件の起訴を集中させ、選挙日に合わせて公判の日時を設定した。これは、トランプの選挙を妨害しようとする司法の武器化である。一方、共和党の下院監視委員会はバイデン大統領の息子ハンターの海外ビジネスを巡って、バイデン一族に多額の収入が還流した問題を追及している。また、父親のバイデン副大統領(当時)がハンターの海外ビジネスに関わり、外交政策の決定に影響力を及ぼして、その見返りに対価を得ていたという汚職の疑惑もある。バイデン大統領の汚職疑惑は弾劾調査の対象になっている。下院監視委員会は、ハンターの海外ビジネスからの疑わしい金融取引(SAR:Suspicious Activity Record)を銀行に提出させて、海外からの資金の流れを調べている。海外からの資金はハンターおよび彼の仲間の20社以上のダミー会社からなる複雑な金融ネットワークを通して、そこからハンターおよびバイデン一族の口座に還流している。バイデンの孫を含むイデン一族の9人に疑わしいお金が分配されている。司法省およびFBIはハンターやバイデン一族の捜査に消極的である。本来、党派に中立な立場で犯罪を捜査するべき、司法省やFBIは党派的であり、捜査の公平性が疑問視されている。捜査がバイデン一族の犯罪に触れようとすると司法省の上層部から介入が入り、捜査が妨害され遅延させられることもしばしばである。特に、ハンターの犯罪捜査が、父親のジョー・バイデンの関与に触れようとすると、司法省からの妨害が入る。メリック・ガーランド司法長官は、バイデン政権を守る立場にあり、ガーランドの上司であるバイデン大統領を捜査し起訴することは利益相反関係にある。バイデンの身内には甘い捜査をして、政治的な敵対者は厳しい捜査をしているのではないかという「2重基準」が問題になっている。さらに、政治的に敵対するトランプや共和党を攻撃する時、司法を武器化して使っている。トランプの魔女狩り裁判、トランプの立て続けの起訴は司法の武器化の具体例である。バイデンの腐敗およびこれを取り締まる司法省の腐敗は、自由と民主主義の基盤を蝕んでいる。ツイッター・ファイルで腐敗の実態が明かされた。
大統領選2020の直前になって、ニューヨークポスト紙がハンターラップトップPCの存在をスクープした。ラップトップPCの中から、バイデンおよびハンターの疑惑のメールが大量に見つかった。FBIは「これはロシアの偽情報」であるとして情報の拡散を封じた。FBIはフェースブック社あるいはツイッター社にデータを検閲して情報が拡散しないように協力を求めた。民主党にとって都合の悪いデータを国民の目からそらす言論の自由を疎外する行為である。これに、マスコミが拍車を駆けた。主流メディアは民主党に偏向している。トランプのネガティブな報道には積極的でありながら、バイデンの疑惑の報道に消極的である。主流メディアの党派性は国民の目からバイデンにまつわる腐敗の実態を隠蔽している。このことは、米国のCNCの報道をそのまま報道するNHKが、トランプのネガティブな報道には積極的でありながら、バイデンのスキャンダルについてはあまり報道しないことと重なることからも理解できるだろう。本文では、ハンター・バイデンとバイデンファミリーの疑惑およびバイデン大統領の疑惑について述べる。それとともに、司法省およびFBIの犯罪捜査の党派性について述べる、バイデンスキャンダルの捜査は2系統ですすんでいる。一つは司法省による犯罪捜査であり、もう一つは下院の政府監視委員会による行政の監視である。バイデン大統領の息子のハンター・バイデンは犯罪の巣窟であり、海外ビジネスにおける贈収賄、税法違反、ロビー法違反、マネーロンダリング違反また麻薬、売春、銃の不法所持などで捜査の対象になっている。司法省によるハンターの起訴は、税の滞納(2件)および銃の不法所持だけに終わった。しかも、銃の不法所持については2年の保護観察付の公判前転用ということで、検察と弁護団の間の司法取引で合意した。裁判所から司法取引の承認を得ることで、ハンターの捜査に幕が引かれることになっていたが、裁判所からの承認を得ることはできないで、捜査は振出に戻った。大統領の息子ということで、合意した司法取引が、普通ではあり得ない寛大な訴追であったことから、世間の批判が殺到した。振出に戻ったハンターの捜査は、特別検察官をたてて、捜査を出直すことになった。つい先日、銃の不法購入および不法所持の罪でハンターは起訴された。いずれも重罪で実刑の対象になる罪であり、量刑は公判で決められる。ハンターの海外ビジネスに関する犯罪も、新たな捜査の対象となり、訴追されることになる。ハンターの海外ビジネスに関連して、バイデンの関与が疑惑の対象になっている。バイデンは現役の大統領であり、現役の大統領は起訴されないことになっていることから、国会の下院司法委員会、下院監視委員会、および下院歳入委員会がバイデンのスキャンダルを追及している。司法省はハンターの犯罪捜査を行っているが、これと並行して下院の監視委員会はハンターの海外ビジネスに関連してバイデンの関与を調査している。ハンターの海外ビジネスに関連して、バイデン大統領およびバイデン一族の関与も調査の対象になっている。
バイデン大統領の次男ハンター・バイデンを巡って、賄賂、脱税、マネーロンダリング、ロビー法違反、麻薬、銃刀法違反、売春婦の疑惑が浮上しえいる。父親のジョー・バイデンもハンターの海外ビジネスにかかわっていたのではないかという疑惑もある。2020年10月14日、大統領選挙の直前にニューヨークポスト紙はスクープ記事の中で、ハンターのラップトップパソコンの中から、ハンターの数々の犯罪を裏付けるデータが見つかった。そしてハンターの海外ビジネスに父親のジョー・バイデン(当時副大統領)が関わっていた疑いも浮上した。しかし、時は2020年の大統領選の直前である。大統領選の結果にも影響を及ぼす大スクープである。当時のFBIは、NYポスト紙の記事をロシアの情報工作であるとして、記事の信憑性を損ねて、事件の捜査を隠蔽した。また驚くべきことにFBIがフェースブック社やツイッター社に対して、偽情報の拡散を制限していたという事実も明かされている。FBIはSNSに対して、言論の検閲および、情報拡散の阻止をSNSに依頼していた。(https://www.bbc.com/news/world-us-canada-62688532)ハンターは、ジョーがオバマ政権で副大統領(2008年~2016年)であった頃、ジョーの影響力を使って相手を信用させ、あるいは副大統領権限の行使を期待させて、海外との不正な取引を行った。ハンターおよび彼の仲間はウクライナ、中国、ルーマニア、カザフスタンなど、海外企業との取引で数千万ドルの収入を得ていた。中国のCEFC社との取引でハンターは、父親のジョー・バイデンの名前を吹聴して、CEFCと米国のビジネス関係を構築した。ハンターは同社の海外投資やエネルギー事業に関与して、100万ドルの報酬を受け取る契約を結んでいた。
ハンターは2013年に父親のジョーと一緒に訪中した際、投資ファンドBHRパートナーズを設立した。ハンターはBHRの取締役会に参加して同社の株式420万ドルを出資して、同社株式の10%を保有した。2020年に株式を売却したと発表したが、金額は公表されていない。価値に換算すると5000万ドル相当と推定される。大統領選挙直前の2019年に、ジョーに支払いがあったことが銀行記録から確認されている。ウクライナのBrisma社はエネルギー関連の会社で、ハンターは2014年~2019年にかけて、Brismaの役員として働き、月5万ドルの収入を得ていた。当時、ウクライナのBrisma 社は汚職の疑いでウクライナ検察の取り調べを受けていた。ウクライナ疑惑に関連して、Brismaのオーナー経営者のズロチェフスキーは、ウクライナ検察からBrismaの汚職捜査を受けていた。当時、ジョーは、ウクライナの政治改革および反汚職を進めていたが、ズロチェフスキーはBrismaの捜査をやめさせるよう、ジョーの影響力の行使を期待した。ジョーは2015年末にウクライナを訪問するが、2016年3月ウクライナの検事総長ショーキンは解任に追い込まれている。確証はとれていないが、FBIが保管している内部告発者の告発(FD-123メモ)よると、ズロチェフスキーは強要されてジョーとハンターに500万ドルづつを支払ったとのことである。さらに、ハンターの海外ビジネスをめぐって、不審な取引が報告されている。ジョーがルーマニアの政治改革や反汚職を推進していた時期に、ハンターは土地取引で詐欺罪で起訴されていたルーマニアの不動産王ポポヴィチュの弁護士として働いていた。ロブ・ウォーカーLLCはポポヴィチュから300万ドルを受け取り、その後100万ドル以上がバイデン家に支払われた。ここでも、バイデンの介入が疑われている。ハンターは自分の法律事務所ロズモント・セネカを通して、カザフスタンのラキシェフ氏の出資を仲介していたとされている。ジョン・ケリーの娘アレクサンドラに100万ドルの投資を斡旋したとされる。ハンター氏はこれらの取引で得た所得を申告していないため、脱税容疑が濃厚である。またFARA法(外国代理人登録法)違反に関連してロビー法に違反している容疑が濃厚である。FARA法は、外国政府の利益を代表するエージェントとして働く場合、外国政府との関係、活動内容、財務内容を報告することを要求するものである。ハンターは外国政府のエージェントとして働いていたが、外国代理人としての登録、活動内容や財務内容の報告をしていなかった。
ジョーが副大統領の時代、ハンターの違法な海外ビジネスが行われた。ハンターの海外ビジネスにジョーが関わっていたのではないかという疑惑もあり、ジョーの海外ビジネスへの関与は、外交政策の決定に影響を及ぼしたのではないかと疑われている。ジョーの外交政策の決定が米国の安全保障政策にも影響を及ぼした恐れもある。ジョーは常々、「息子が海外で行っているビジネス取引について息子と話したことはない」と述べ、また「私たち(バイデン夫妻)は息子に大きな信頼を寄せている」として、息子のビジネスに違法性がないと誓っている。7月31日、下院監視委員会の非公式の公聴会でハンターのかつてのビジネス仲間であったデヴォン・アーチャーが、ハンターの海外ビジネスについて証言した。アーチャーの証言によると、ハンターは父親との近さを取引相手にアピールして、父親をブランドとして売り込んでいたと指摘した。ハンターは、取引相手を前に、スピーカーホーンを通してジョーと話しをする場がたびたびあったという。「バイデンブランド」を売り込んで、相手にバイデンの影響力を期待させ、世界中で商売(influence peddling)をしていた様子を証言している。アーチャーの証言によると、ハンターと海外の取引相手が一緒に食事をする場にジョーが居合わせたこともあったという。アーチャーは「ジョーは海外の取引相手とビジネスの話をしている場面には遭遇していない」と証言しているが、ジョーが息子のビジネスについて知っていたのは確かである。ジョーが宣誓した「息子が海外で行っているビジネス取引について息子と話したことはない」は嘘の宣誓である。
ルーマニアとのビジネスでは、ハンターは詐欺罪で起訴されたルーマニアの不動産王ポポヴィチュの弁護士として働いていた。ハンターは、「バイデンブランド」を使って、アメリカの政府高官を動かし、ポポヴィチュに寛大な処分を下すようルーマニアの検察当局に働きかけることが期待されていた。当時、ジョーは海外における反汚職政策を担っていたが、ジョーがルーマニア大統領をホワイトハウスに呼び、反汚職について話し合った数週間後、ハンターの仲間のロブ・ウォーカーLLCに数百万ドルが支払われている。ウクライナのビジネスでは、エネルギー会社Brisma社が汚職捜査を受けていた。Brismaの創業者ズロチェフスキーは、バイデンの影響力を行使して汚職捜査を止めさせるよう働きかけた。当時、ジョーは海外における反汚職政策を担っていたが、ウクライナのポロシェンコ大統領と面会し、Brismaの汚職捜査をしていたウクライナの検事総長ショーキンを解任に追い込んだ。内部告発によると、ズロチェフスキーはバイデン夫妻に強要されて、ハンターおよびジョーに500万ドルづつを支払ったという。ズロチェフスキーは会話の録音を17件持っているとし、そのうち2件はジョー・バイデンに関するものであると述べた。バイデン夫妻に直接資金を送金していないとし、銀行記録から辿るには10年かかるだろうと言ったという。モスクワ市長の未亡人で億万長者のエレナ・バトゥリナは、ハンターの不動産会社ローズモント・リアルティに4000万ドルを投資し、ハンターとつながりのある銀行口座に350万ドルを送金した。アーチャーの証言によるとバトゥリナとハンターの仲間は、当時副大統領のジョー・バイデンとワシントンDCのカフェミラノで食事をしたという。ロシアのウクライナ侵攻で、ロシアのオリガルヒが財務省の公的制裁対象とされる中で、ハンターの友人であるロシアの億万長者バトゥリナが制裁対象リストから外れていると、下院監視委員会のコマー委員長は疑問を呈している。
下院監視委員会の報告によると、海外からの報酬は複雑な金融ネットワークを通して、バイデン一族に送金されていたという。海外のビジネスには無縁であるはずの、バイデンの子供や孫、息子の嫁などに送金されていた。下院監視委員会のコマー委員長はバイデン一族が中国や海外から1000万ドル以上の送金を受けていたことを明らかにした。監視委員会は銀行6行に対して召喚状を出して、銀行口座報告書と不審行為報告書を提出させて、資金の流れを追跡した。銀行記録によると、バイデン一族とそのビジネス関係者は、外国からの資金を隠すことを目的として、20社以上の複雑な企業のネットワークを作り上げ、外国からの資金を分配していたという。このうち、16社はジョー・バイデンが副大統領の在任中に設立された有限会社LLC(Limited Liability Company)であり、バイデン一族とそのビジネス関係者の会社である。これらの会社は外国人およびその関連会社から1000万ドル以上を受け取っていた。外国からの支払いはハンター関係の企業ネットワークに送られ、そこからバイデン一族への支払いが隠蔽を目的として別の銀行口座に段階的に分配されていたとされる。委員会のコマー委員長によると、バイデン家の少なくとも9人が支払いを受けていた。その中には「ハンター・バイデン本人、ジェームズ・バイデン(ジョーの弟)、サラ・バイデン(ジェームズの妻)、ハリー・バイデン(故ボー・バイデンの妻)、キャスリーン・ビュール(ハンターの元妻)、メリッサ・バイデン(ハンターの妻)、大統領の弟の3人の子供たち」が含まれている。
これらの複雑な金融取引は、資金の出所を隠し、バイデンの銀行口座に入金された総額を目立たないようにすることを目的としている。中国情報機関や中国共産党と関係する中国企業は、国内の複数の有限会社を重ねてバイデン夫妻に支払われた資金源を隠した。さらに、バイデン一族のネットワークを経由して中国からの資金を受け取った。ジョー・バイデンが副大統領を退任してから2か月も経たない2017年3月1日に、中国のエネルギー会社CEFCの関連会社からバイデン家の関係者ロブ・ウォーカーに300万ドルの支払いがあった。ロブ・ウォーカーの受け取った300万ドルのうち106万ドルをバイデン一族や関係者に振り込み、100万ドル以上をジェームズ・ギリアーの関連会社に106万ドルを送金している。バイデン一族に送金された106万ドルのうち、ハンター(50万ドル)、ハリー(25万ドル)、ジェームズ(14万ドル)、サラ(10万ドル)の他に『バイデン』と特定された不明口座に7万ドルが送金されている。ニューヨーク・ポスト紙が報じたハンター・バイデンのラップトップPCのメールには、「ビッグガイ」がCEFC契約の10%を得るという内容が含まれていた。その「ビッグガイ」とはジョー・バイデンと言われている。ハンター・バイデンは、賄賂、脱税、マネーロンダリング、ロビー法違反、麻薬、銃刀法違反、売春婦など、犯罪疑惑のデパートである。トランプが大統領職にあった2018年に、司法省はハンターの捜査を開始している。2018年11月に海外ポルノサイト捜査で疑惑容疑が浮上したことをきっかけとしてハンターの捜査が始まった。トランプはデラウェア州の連邦検事にデビッド・ワイスを指名してハンターの捜査にあたらせた。この捜査はマネーロンダリングやFARA法違反の疑いを追及したが、海外とのビジネス取引によって得た収入の脱税の容疑にも焦点をあてて捜査していた。捜査は検察が捜査令状を請求し、大陪審への召喚状を発行できる段階にまで達していた。しかし、ワイスは2020年の大統領選挙の数カ月前に選挙への影響を懸念して、ハンター・バイデンの犯罪捜査を一時停止した。
2021年バイデン政権になって、メリック・ガーランドが司法長官に任命された。ガーランドはデラウェア州のワイス連邦検事を引き続きハンターの捜査にあたらせた。大統領選挙をはさんで、バイデンが大統領に就任すると、ハンターの捜査は様子が変わった。ハンターの捜査陣は、大統領の息子の捜査をどのように進めるのかという問題に直面することになる。バイデン大統領の部下でもあるガーランド司法長官にとって、バイデン大統領の息子を捜査するという、利益相反の立場に置かれることになった。利益相反を避けるために、共和党はガーランド司法長官に特別検察官を任命するように要求した。しかし、ワイスには捜査の全権が与えられているとして、ガーランド司法長官は特別検察官の任命を拒否した。ハンターの海外ビジネスにからんで、脱税、マネーロンダリング、外国ロビー活動の違反については捜査の対象から遠ざけられた。特にバイデン大統領あるいはバイデン一族の関与が疑われるような事件については、捜査の対象からはずした。IRS捜査官の内部告発によると、司法省から捜査介入を受けるようになったと証言している。例えば、ハンター捜査チームに加わったレスリー・ウルフ検事補は、IRS捜査官による捜査令状の執行や証人尋問などの妨害をした。ハンターが一時滞在していたバイデン宅のゲストハウスに対する捜査令状を求めたが、ウルフはこれを押し返している。また、バイデンおよびバイデン一族についての質問をさせないように立ちはだかって捜査の妨害をした。ハンターの捜査対象は海外ビジネスにおける不正行為から、2017年および2018年の税金問題および銃の不法所持に焦点が絞られた。ハンターは税金未納(軽罪)や銃所持(重罪)をめぐる罪について訴追されることになったが、公判と引き換えに司法取引を合意した。ハンターと司法省の間で合意された司法取引では、2017年および2018年の税金の未納を認め、また薬物を使用していたのに銃を所持した罪については、2年間の公判前ダイバージョンで起訴を取り下げるという保護観察付の「転用協定」で合意した。5年もかけた捜査は税金未納と銃の不法所持についての訴追だけに終わり、しかも銃の不法所持については2年間の保護観察付の「転用協定」で合意した。この司法取引は、「付随する犯罪について将来にわたって訴追されないという合意」を条件としている。この合意は、将来の捜査が脱税、マネーロンダリング違反、ロビー法違反におよんでも、訴追から免れるという合意である。
この合意を受け入れることで、ハンターはそれまでのすべての犯罪について起訴されない「公判前転用協定」という司法取引ことになる。結局、納税遅延の罪(軽犯罪)2件と2年間の保護観察だけで実刑を免れるという合意であった。司法省がハンターの犯罪捜査に「手心を加えた」として、共和党はガーランドを非難した。共和党は、司法省は大統領の息子を特別に優遇し、対照的にトランプをターゲットにあらゆる行為を精査して起訴しているとして、司法省の「2重基準」を非難した。検察と被告の合意は裁判所の承認を得て決着するはずであった。しかし、デラウェア州連邦地裁のマリーレン・ノレイカ判事は司法取引の合意に不一致があることに気が付いた。司法取引でいう「付随する犯罪について犯罪について訴追されないという合意」について、ロビー法違反(FARA法違反)も訴追されないのかと判事が質すと、弁護側は保護されると回答したのに対して、検察側は保護されないと回答した。検察側は法廷で、今回の司法取引では別の容疑による将来の訴追の可能性を排除していないと強調。外国からのロビー活動に関してハンター氏の捜査を続けていると明らかにした。これに対して、ハンター側の弁護団が反論し、判事は双方に免責内容の明確化を命じ、閉廷した。判事はこの合意がビジネス取引に対する訴追から広範な免責を与えるものではないことを明確にするように求めた。また銃の不法所持を免責に含めるのは憲法上の疑義があるとした。これに対してハンター側は、将来的にFARA法違反に問われるならば、司法取引は無効だとした。そのため、判事は司法取引の承認を保留した。ハンター側は、納税違反(軽犯罪)で有罪を認めることで司法取引をさせ、これで事件の幕引きができると思っていたが、司法取引は承認を得ることはできなかった。
司法省は2018年よりハンター・バイデンを脱税、マネーロンダリング、ロビー法違反などの罪で捜査をしてきた。バイデン政権になって、ハンターの捜査は納税の遅れおよび銃の不法所持に焦点が絞られた。2018年から5年間をかけて捜査した結果、告発するのは納税の遅れに関する2件の罪(いずれも軽罪)だけで、銃の不法所持は2年間の保護観察付きの「公判前転用協定」という司法取引という寛大な結果に終わった。ジョー・バイデン大統領の息子だから「手心を加えた」のではないかと、司法の公平性が問われる結果になった。麻薬の常習でありながら銃を不法に所持することに対して、本来重罪で実刑が科されるところ、ハンターの不遇な環境に配慮して、2年間の保護観察期間を設け更生を見守るという寛大な処分で決着したことに対しても、批判の目が向けられた。IRS(米国歳入庁)の捜査官であるジーグラーとシャプリーは、ワイスが監督する連邦検察チームと共に、ハンターの捜査に携わってきた。5年にわたる捜査の結果、2件の納税遅延だけで幕引きを図ろうとする司法省の捜査を批判して、捜査の過程で司法省からの介入があったことを内部告発した。ガーランド司法長官は、司法省との利益相反を伴う刑事事件において、特別検察官の任命が義務付けられている。ガーランドはバイデン大統領の利益守る立場にあって、バイデンの息子を捜査するということは利益相反を伴うことから、特別検察官を任命する必要があった。しかし、特別検察官を任命しないでデラウェア州の連邦検事ワイスに、ハンターの捜査を行わせた。ガーランドはワイスにハンターを捜査して告発するための全権を与えたと主張しているが、IRSの内部告発によると、あらゆる場面で捜査は妨害された。シャプレーの証言によると、「2014年と2015年の課税年度についてワシントンDCのマシュー・グレイブス連邦検事はハンターを起訴できない」とワイスの捜査チームに告げた。司法省の捜査妨害で捜査は遅らされ、その結果ハンターの事件で最も重大な部分で時効が成立したと、IRSの捜査官は証言している。
また、「2016年から2019年の課税年度について、ワイスはカリフォルニア州のマーティン・エストラーダ連邦検事から告訴を拒否された」ようだと語った。ワイスが特別検察官であれば他地区で起訴する権限を持つが、デラウェア州の連邦検事であるワイスの要請は拒否された。ワイスは特別検察官の権限を求めたとされるが、その要請は受け入れられなかったという。ガーランドは、「必要に応じて他の地区で訴訟を起こしたりする全権限を持っている」とワイスに言ったが、ワイスはその権限を要求してこなかったと言っている。ワイスは特別検察官の地位を要請したが拒否されたと述べている。ワイスとガーランドの言い分に違いがあるが、ガーランドが偽証をした可能性もある。あるいはガーランドの詭弁である。司法長官であるガーランドは、捜査妨害をしなかったかもしれないが、司法省のスタッフあるいは地方の連邦検事が捜査妨害をしていたことはIRS捜査官の証言から明らかである。IRS捜査官の証言は、司法省のスタッフがいつどのようにハンターの捜査に介入したのかを暴いた。「とりわけハンターの海外ビジネスに関わる犯罪を覆い隠し、そこに絡むバイデン大統領およびバイデン一族の関与を隠蔽しようとした。」IRSのジーグラーの証言によると、「ワイスは特別検察官の権限を自由に行使して捜査を行い、起訴する権限が与えられているように見えたが、実際の捜査においては、いろいろと制限されているようだった。ワイスは、司法省職員や他の米国検事から常に足を引っ張られ、制限され、疎外されていた」と述べている。IRSの捜査官も様々な妨害にあっている。ハンターに面会してインタビューすることさえ妨害されたと語っている。また、捜査で家宅捜査をしようとすると、その情報が密告されることもあったという。また、ハンターのラップトップPCにアクセスすることは拒否されたと語っている。IRSの捜査官は、ハンターの犯罪行為には、脱税、虚偽の申告、納税の故意の怠りが含まれ、ハンターを2014課税年度から重罪を含む税金犯罪で起訴するよう勧告した。IRSの捜査官によると、2014年から2019年にかけて、中国、ウクライナ、ルーマニアをはじめとする海外企業からハンターとバイデン一族に、約1730万ドルが送られ、そのうち830万ドルはハンターに送られていた。この期間中ハンターが支払うべき税金は100万ドルを超えていた。また、IRSの内部告発者は、ハンターおよびバイデン夫妻への捜査がいかに優遇されたものであったかを証言した。元来、被疑者が大統領の息子であるかの如何にかかわらず2重の正義制度があってはならないところ、調査のあらゆる段階でハンターの捜査に手が加えられていたと証言した。
ハンターの税金と銃の容疑に関して、司法取引の復活交渉が決裂したことを受けて、2023年8月11日、ガーランド司法長官はこれまでハンターの捜査を指揮してきたデビット・ワイス連邦検察官を特別検察官に昇格させた。ハンターの捜査では利益相反が指摘されていたが、特別検査官は司法省からの独立性が高まり、犯罪捜査や起訴において権限が拡大される。捜査終了時に報告書をガーランド司法長官に提出するだけで、司法省の介入を受けることはない。ワイスは2018年以来、デラウェア州の連邦検事として、ハンターの海外取引、税金問題、銃の不法所持など幅広い犯罪容疑を捜査してきた。ワイスの捜査は、当初ハンターの海外事業、特に中国での取引における税法とマネーロンダリング法違反の可能性に焦点を当てていた。政権が代わってバイデンが2021年1月に大統領に就任した後も、ハンターの捜査を引き継いで職に留まった。しかし、IRSの捜査官が議会で証言したように、バイデン政権下では司法省の介入があって、検察と弁護団はハンターにとって有利な条件で司法取引に合意した。
しかし、この司法合意は裁判所の承認を得る段階になって、デラウェア州連邦地裁のノレイカ判事の尋問に対して、検察と弁護団の間で合意事項に関する見解の相違が明らかになった。また、ノレイカ判事は銃の違法所持に関する「公判前転用協定」の合意について、検察官と弁護団の合意によるもので、判事はそれを受け入れるか拒否する立場にはないとして、司法取引の承認を保留した。司法取引の「付随する犯罪について将来にわたって訴追されないという合意」に関連して、検察は捜査の継続で「将来の訴追を排除しない」立場を明らかにするが、これに弁護団は反発し、その後協議を重ねたが双方は折り合えずに司法合意は白紙に戻った。ノレイカ判事は、政府に対してハンターの事案を巡る最新状況を報告するように求めたが、ワイスはデラウェア州の連邦地裁に提出した書面で、ハンターを9月末までに起訴するよう大陪審に要請する考えを明らかにした。2023年9月14日、ワイスはハンターが麻薬の常習であった事実について虚偽の申告をしたことで、銃の不法購入の容疑(重罪2件)で訴追した。また、銃の不法所持(重罪1件)の容疑で訴追した。ハンターの弁護団は司法取引を復活させて無罪としたいところであるが、判事は「前例のない」取引に拒否権を発動している。ワイスがハンターの銃関連の起訴を急いだのは、時効の成立が迫っていたためである。デラウェア州での納税遅延(軽罪2件)の告訴についてはこれを取り下げた。不正行為があったとされるカリフォルニア州とワシントンDCでの海外での容疑については、日程は明らかにではないが、やがて告訴される可能性がある。また、海外企業との取引で脱税、ロビー法違反、マネーロンダリング等の潜在的な容疑に直面している。
米国のメリック・ガーランド司法長官は、下院司法委員会の9月20日の公聴会で、共和党議員から「司法は民主党に有利な2重基準に従っているのではないか」と厳しく批判され、ガーランドは「司法省はすべての人に同じ法律を適用する」と主張した。共和党議員は司法省とFBIはトランプ前大統領の捜査には積極的でありながら、バイデン大統領の息子であるハンター・バイデンに対しては寛大であると非難した。ハンターは当時副大統領であった父親のジョー・バイデンの影響力を利用して海外ビジネスから数千万ドルの利益を得た。トランプ政権からバイデン政権に移行して、ハンターの犯罪捜査は変化した。父親のジョー・バイデンの関与も疑われるハンターの海外ビジネスについての捜査から、2017年および2018年の納税遅延および銃の不法所持についての捜査に焦点が絞られた。IRS(歳入庁)の内部告発は、司法省による捜査妨害があったと証言した。ワシントンDCやカリフォルニア州での起訴は拒否され、2014年から2015年の犯罪は時効になったと証言した。ハンターの海外ビジネスにからむ犯罪は捜査の妨害にあって起訴されなかったと証言した。結局、検察と弁護団の司法取引の合意で、納税遅延(2件)および銃の不法所持で罪が問われ、銃の不法所持については公判前転用協定で2年間の保護観察で終わるという寛大な処分で決着することになった。下院の公聴会でガーランドは、「自分は捜査に干渉しなかったし、捜査を担当する連邦検事のデビッド・ワイスにも干渉しなかった」と主張した。ガーランドの主張はIRS捜査官の内部告発と食い違うが、ガーランドの主張は詭弁である。司法省のハンター捜査チームはワイスをリーダーとする複数の捜査スタッフからなるが、捜査チームのスタッフから、捜査妨害があった。捜査チームのレスリー・ウルフ連邦検事補から、父親(ジョー・バイデン)への言及の制限、ハンターとの面会・インタビューの拒否、ハンターの法律チームへの捜査情報の漏洩などの、捜査妨害があった。また、ワシントンDCのマシュー・グレイブス連邦検事、カリフォルニア州のマーティン・エストラーダ連邦検事はハンターの起訴を拒否した。大統領の次男を捜査・起訴するという利益相反のある事件では、早い段階で特別検察官を任命するべきであった。しかし、連邦検察官のワイスが特別検察官に任命されたのは、検察とハンター弁護団の間の司法合意がデラウェア州の連邦地裁で拒否された後になってからである。
議会襲撃事件で、トランプの支持者は1100人超が逮捕されている。半数以上が有罪判決を受けるか司法取引を受け、約200人が重罪で刑務所に送られている。元プラウドボーイズのリーダータリオ被告に扇動共謀罪などで禁固22年の量刑が言い渡された。同じくプラウドボーイズのノーディーン被告に禁固18年の量刑が、オースキーパーズのローズ被告に禁固18年の刑が宣告されている。議会襲撃事件の暴徒による死亡者は、心臓発作など自然死で亡くなった4名、および自殺で亡くなった警官4名を除くと、暴力で亡くなった人は警官に射殺されたアシュリー・バビットを除くとゼロであった。騒動の規模を考えると非暴力的であった。議事堂襲撃に参加して逮捕された暴徒は、総じて非暴力的であり、課題な量刑が課されていると米検察当局を非難し、BLM運動の暴徒に対する扱いと比べて2重基準であると指摘した。BLM運動は、白人の警察官がジョージ・フロイド氏の首を膝で圧迫し窒息死させた事件をきっかけに、黒人差別に対して全米に広がった抗議運動である。抗議参加者の数は数千人に膨れ上がり警官に投石し、火を放つなどの暴徒もいて、全米各地で暴動に発展した。抗議参加者の中には、商店のガラスを割って略奪する暴徒、建物や車に放火する暴徒もいた。BLM運動に左派の過激派集団アンティファが加わって暴動を扇動したといわれる。300人程度が起訴されたというが、暴行、放火、殺人未遂、法執行妨害、爆発物の使用、物品破壊、銃の不法所持など重罪で有罪判決を受けている。銃撃騒動になって州兵が派遣されることもあった。BLM運動の暴動を主導したアンティファのメンバーはほとんど告発されていない。共和党のグリーン議員は「アンティファとBLM暴徒の告発の95%以上が取り下げられている」と議事堂襲撃事件における暴徒に対する判決と比べて、司法省の2重基準を非難している。
大統領(または副大統領)は退任する際に、自宅に持ち出した公文書を国立公文書館(NARA)に機密区分にかかわらず返還しなければならない。トランプの弁護士は、2021年5月マール・ア・ラーゴで大統領記録が発見されたことを通知してNARAに15箱の公文書を移送した。FBIはまだあると思われる文書の召喚状を送り、2022年8月マール・ア・ラーゴを家宅捜査して最高機密文書を含む33個の箱に入った公文書を押収した。ガーランド司法長官は2022年11月、ジャック・スミスを特別検察官に任命して、トランプの機密文書の捜査に当たらせた。ジャック・スミスは2020年の大統領選挙を巡って、トランプが選挙結果を覆そうとした件でも捜査をしている。2023年7月、スミスは機密文書の持ち出しを巡ってトランプおよびその関係者を起訴した。機密文書に関連してスパイ防止法違反他で起訴した。バイデンの弁護士は、2022年11月ペン・バイデン・センターにあるバイデンのオフィスを閉鎖しようとしていた際、バイデンの副大統領時代の文書を発見し、それを国立公文書館(NARA)に通知して、見つかった文書をNARAに移送した。12月20日バイデンの弁護士は2セット目の機密文書をバイデンのウィルミントン自宅のガレージで発見したことを通知し、FBIはバイデン自宅を訪れ文書を確保した。23年1月12日、さらに、翌年の1月、バイデン自宅の書斎で追加の機密文書を発見したことを公に明らかにした。ガーランド司法長官は「異例の事態」を理由に、ロバート・ハーを特別検察官に任命した。「この任命は、とりわけセンシティブな問題において独立性と説明責任の両方を確保し、事実と法律のみに導かれた議論の余地のない決定を下すという、当省の責任を一般市民に示すものだ」とガーランドは述べた。バイデンの秘書キャシィ・チュンは、ペン・バイデン・センターで見つかった第1セットの文書とバイデンの自宅のガレージで見つかった第2セットの文書の取り扱いのちがいについて語った。ホワイトハウスからペン・バイデン・センターに文書を移送する際、第1セットの文書と第2セットの文書は異なる経路で移送され、保管する場所も違った。一旦、ペン・バイデン・センターに保管された第2セットの文書は、ペン・バイデン・センターからウィルミントンのバイデン宅に移送され、ガレージに保管された。ウィルミントンのバイデン宅は、ハンター・バイデンのオフィスとして使用され、ハンターの海外ビジネスに関する(国家)機密文書が保管されていた。バイデン宅のガレージで、第2セットの文書が見つかると、司法省は「異例の事態」を理由に、ロバート・ハーを特別検察官に任命している。「異例の事態」の詳細は明かされていないが、ハンターの海外ビジネスへのバイデンの関与を想起させる。トランプとバイデンの機密文書の捜査において、両者とも特別検察官が任命され、トランプは起訴されている。特別検察官ロバート・ハーの調査結果が気になるところである。
2023年9月12日共和党のマッカーシー下院議長は、バイデン大統領の弾劾に向けた調査を開始するよう下院の監視委員会(ジェームズ・コマー委員長)、司法委員会(ジム・ジョーダン委員長)、歳入委員会(ジェイソン・スミス委員長)に対して指示を出した。バイデン大統領が副大統領をつとめていた当時、次男のハンター・バイデンの海外ビジネスに関連して、副大統領という立場を利用して権限を行使し、ハンターの海外ビジネスに恩義を図っていたという疑惑が持たれている。弾劾に向けて今後のプロセスは、下院で弾劾調査、下院議会の弾劾決議(過半数で上院議会に弾劾裁判所が設置される)、弾劾裁判所の評決(上院出席議員の3分の2以上の賛成で有罪判決)、という段取りになる。2024年夏~秋頃に弾劾調査が終わるのと見込まれている。下院で弾劾が決議されて、弾劾裁判所の評決になっても上院出席議員の3分の2以上で弾劾という壁は厚く、バイデン大統領が弾劾される見込みは小さい。ただ、弾劾のプロセスを通して、国民の目の前でバイデン大統領の疑惑を明らかにする意義は大きい。マッカーシー下院議長が弾劾調査に対象に挙げているのは、次の4つの疑惑である。現段階では、いずれも確証はとれていないが、今後の調査で明らかにしてゆくとしている。バイデン(ジョー・バイデン)は「息子が海外で行っているビジネス取引について息あるいは食事を共にして息子の海外ビジネスに関わった。ウクライナ、中国、ルーマニア、カザフスタン、ロシア等の企業との取引では、副大統領の権限を行使して、息子の海外ビジネスに関わった。受け取った海外からの送金は、ハンターおよびその仲間に支払われると共に、一部はバイデン一族の9人に複雑な金融ネットワークを通して送金された。これらの金融ネットワークは、資金の出所を隠し、バイデンの銀行口座に入金された総額を目立たないようにすることを目的としている。マネーロンダリングの疑いがある。
ハンターが取締役を務めていたウクライナのガス会社Brismaのズロチェフスキーは汚職の捜査を受けていた。ズロチェフスキーは汚職の捜査を中止するよう、バイデンに相談すると、バイデンはウクライナのポロシェンコ大統領と接触して検事総長ショーキンを解任に追い込んだ。内部告発者のメモ(FD-123フォーマット)よるとズロチェフスキーは、バイデン親子にそれぞれ500万ドルを支払った。バイデンが500万ドルを受け取ったとすると収賄の罪に問われる。バイデンの弾劾調査開始を受けて、下院の監視委員会は9月28日に初の公聴会を開くことを明らかにした。「バイデンの汚職関与と職権乱用に関する、憲法上・法律上の疑問にフォーカスする。」として、本格的な調査に臨む姿勢を明らかにした。2023年9月26日、FOX news digitalは「ハンターが中国のビジネスパートナーから25万ドル以上の資金を電送する電報を受け取り、ジョー・バイデンのデラウェア州の自宅が資金の受益者の住所として記載されていた」と報じた。公聴会の冒頭、米下院監視委員会のコマー委員長は、「バイデンが家族の経済的利益のために職権を乱用した」と主張し、「米国民は腐敗に対する説明責任を求めている。」と述べた。
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