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2024-01-19 00:00
台湾総統選挙に関する率直な感想
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
1月13日に台湾の総統選挙が行われた。その結果民進党の頼清徳氏が当選を果たした。現在の民進党蔡英文氏の後任で民進党が3期連続で総統を輩出するということになる。今回の総統選挙の争点は「中華人民共和国との併合」ということになる。併合をすれば、経済的には中華人民共和国との連携を行うことができ、そのことによって台湾も経済的に問題がなくなる。実際に、台湾が現在正式にの国交を結んでいる国は、12か国。この総統選挙の後の1月15日に南太平洋の島国ナウルが中華人民共和国に買収されたことによって、台湾との国交を断った。さて、そのように台湾を「孤立化」させている中国共産党と結ぼうとしている勢力が、今回は国民党と民衆党と2つあり、それぞれ侯友宜と柯文哲が立候補していた。
頼清徳(民主進歩党) 5,586,019票 40.05%
侯友宜(中国国民党) 4,671,021票 33.49%
柯文哲(台湾民衆党) 3,690,466票 26.46%
総計 14,300,940 100.0%
有効投票数(有効率) 13,947,506票 99.28%
無効票・白票数(無効率)100,804 0.72%
棄権者数(棄権率) 5,500,221 28.14%
結果としてはこのような感じになる。つまり台湾独立派は全体の40%550万票しかなく、共産党と連携するということを指示している人は830万票もあるということになる。その中国連携派が過半数を持っているということになるのである。議会もそのようになっており民進党は51議席、国民党は52議席、民衆党は8議席となり、議会も民進党が過半数を持っているという状態ではないのである。このような結果になるのは、昨年の11月15日に、中国共産党と国民党の馬英九元総統が仲介して、中国系候補の一本化をするということを言ったが、その調整がうまく行かなかったということになる。逆に言えば、この一本化調整がうまくいっていれば、このような結果になっていない可能性があるのではないか。新しい総統の頼清徳氏に関しては、これから様々に特集されるし、また、その内容がよく見えてくるのではないか。多分経歴からなにから、様々出てくるはずである。その様に考えれば、ここで頼氏のことを見る必要はない。要するに、台湾の過半数である「現在の頼氏の主張に賛成しない人々」の意見を見てみる必要があるということになる。
国民党の候補は、元警察長官で台湾独立に反対している。しかし、そのことを明言もしなしい、また、その内容の質問はほとんどかわしていて明言をしていない。明言をしていないことで信頼が薄れたというように考えるべきではないか。民衆党の柯候補は、元台北市長で、その前は外科医である。2014年には、中国の影響拡大に反対した学生らが立法院を占拠した「太陽花学生運動(ひまわり学生運動)」を支持。その年の台北市長選で当選している。しかし台北市長になって、上海など中華人民共和国の各都市との連携を勧めるというように、ひまわり運動の支持をしていたにもかかわらず、全く逆の反応をしているということになるのである。柯氏は中国との関係について「民進党は中国から相手にされず、国民党は中国に従順すぎる」と2大政党を批判し、文化や経済の分野を先行して中国との交流を進めるとしている。「今の民主的で自由な政治体制と生活様式を保つという前提のもとで、対等で尊厳あるやり方で大陸と対話を進めたい」と述べる一方で「国の安全を相手側の善意に完全に預けるわけにはいかず、十分な防衛力を持たなければならない」として、防衛費をGDP=域内総生産の3%に引き上げると主張している。要するに柯文哲氏は「現状肯定派」悪い言い方をすれば「つごうよいいいとこどり派」というようなことになる。
さて、台湾の人々の感覚としては「現状維持」が最もよいとしている人々であり、基本的に中国共産党と一緒にするというようなことは全く考えていない。しかし、国民党支持が33%あるというのは、経済的な内容や許認可において、国民党の影響が非常に大きくまた軍隊も国民党の影響が強く残っていると言うことになるのである。つまり、その様な経済的な内容で中国共産党の影響を考えている人々は少なくない。もう一つは少子高齢化であり、高齢者、つまり蒋介石や蒋経国の支配の時代を経験している「年寄」世代が、33%いるという事にもなる。一方でひまわり革命の主体である大学生などの学生運動などをし、中国共産党に危機感を持っている若者は40%いるということになる。残りの30%は何を考えているのか。頼氏の民進党は、教育や経済を共産党からと取り戻す必要がある。そのようにして完全なる共産党からの独立を考えることが重要であり、その中に日本やアメリカがどのようウに関与してゆくのかということが重要になってくる。今回の結果で、「日本は何をすべきか」ということにあるのではないか。
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