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2024-02-02 00:00
欧州連合(EU)主導でフーシの攻撃停止へ
佐々木 卓也
会社員
反イスラエルの軍事勢力にイエメンのフーシ派、ガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラが挙げられる。その中でイエメンは、1990年5月22日に、北イエメンと南イエメンが合併し現在のイエメン共和国が成立した。またアラビア半島諸国において同国のみが、共和制をとる立憲国家である。既に連邦制が正式に採択され、連邦国家に移行する予定だが、そうなることを想定しても内戦の終結はめどが立っていない。そしてイエメン内戦の原因となったのは、2011年の中東民主化運動「アラブの春」で反政府デモが広がったことによる。またイスラム教シーア派組織であるフーシ派が、その内戦で暫定政権と戦闘を続け、武装組織としてイランの支援を受けている。一方で暫定政権は、国際的な承認を得て2019年の「リヤド合意」を経てから、南部独立分離派「南部暫定評議会」と2020年12月に、新内閣を組閣した。その新政権は、北部の大部分に支配下を置く、フーシ派に対抗しスンニ派であるサウジアラビアの支援を受けている。
そのためイエメンの内戦は、イランとサウジアラビアの代理戦争としても続いていたが、2023年3月に、両国が外交関係を正常化させることで合意した。またそれは中国の仲介で実現したのだ。それでもイランとサウジアラビアが、イエメンの和平に向けて動き出すことはないだろう。そして9年近いその内戦状態に関して、他国を取り巻く支援の図式は変わらず、中東に緊迫した状況をもたらし続けている。その後フーシ派は、2023年11月19日、日本郵船が運航する貨物船「ギャラクシー・リーダー」を紅海で拿捕した。これまで紅海では、1995年エリトニアとイエメンで群島の領有権をめぐり争った、「ハニーシュ群島紛争」があった。そして同群島付近に天然ガス資源が存在したことも、紛争に繋がっていったとされている。この領土問題は1998年、仲裁裁判所が同群島の帰属をイエメンと決定した。また仲裁裁判所は、フランスの仲介により設置されたのだった。
だが今回のフーシ派の攻撃は、公的機関が介入することもないままの状態で12月3日にも、紅海南部の公海を航行中の商船3隻が対艦弾道ミサイルなどで被弾した。そして2024年1月半ばまでに、フーシ派は商船攻撃を30回以上繰り返している。このことは、イスラエルとハマスの戦闘が影響して続いているのだ。なお内戦でイエメン政府に勝利できないフーシ派は、この機会に反イスラエルとして他国の船舶攻撃をすることで、ハマスとヒズボラなどと連帯し勢力を増加させる狙いがある。他方でフランスの海軍は1月11日、フーシ派によりイスラエル関連船舶が攻撃されている紅海で、フランスと関連のある船舶を警備として、航行に同行していることを明かした。その後米英両軍が1月22日に、フーシ派の武器庫など8つの標的を、攻撃したことが発表された。これには豪州、バーレーン、カナダ、オランダが支援している。だが米英空軍での激しい戦闘は、中東情勢を悪化させる危険性を伴っているのだ。
また欧州連合(EU)は同日、フーシ派の紅海周辺での攻撃に対して、護衛のための艦艇の派遣に大筋合意した。それに関しては、早急に実現してイスラエルとハマスの戦闘停止よりも前に、フーシ派の攻撃を終結させなければならない。そして今後中国を通してイランが、フーシ派へ戦闘活動をやめるよう促しても、その成果がなければ少なくとも3年は、イギリス海軍、フランス海軍、ドイツ海軍を中心とした欧州連合(EU)の海軍で、紅海の安全航路を厳重に見張る必要がある。
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