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2024-04-30 00:00
中国の行う「反スパイ教育」とは何か
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
今回は、「中国の行う反スパイ教育」ということに関して見てみよう。反スパイ法、またはスパイ防止法というのは、国家内にスパイが入ってくることを防止し、スパイ行為を強く罰するということによって国内の治安や財産を守るということになる。そもそも「スパイ」ということであっても様々な種類があるのである。例えば「産業スパイ」と言って、企業の知的財産権や開発のデータなどを盗むという内容のスパイがあったり、「工作員」のように、秘密を入手しながら、国民に何らかの影響を及ぼすことをするなど、何らかの工作を行うというようなスパイもある。破壊工作要員や暗殺要員のようなスパイもあるので、何とも言いようがない。それら全てのスパイを防止するという法律がこれらの法律ということになる。
ではそもそも「スパイ」ということはどのようにして見分けるのであろうか。要するに、「スパイ」ということは、映画などの影響によって、だいたいのイメージがあると思う。まあ、007みたいに格好の良い人ばかりではないのであるが、日本人の場合は、「自分がスパイに狙われるはずがない」などと勝手に思っていて、スパイが近づいても全く気が付かないことが多い。また、そもそも機密というものは何なのか、また、何を秘密にするのか、または何をもってスパイ行為とするのかということは、すべて「国家が決める」ということになる。つまりスパイ防止法などがある場合、「スパイ」という人と「スパイ行為」という行為、及び、そのスパイから何を守るのかという「機密事項」は、全て国家が決めるということになる。日本のような国の場合は、法律があり、その法律の条文の中に定義が書かれているものである。特に日本の場合は、憲法の中に「罪刑法定主義」ということが書かれており、法律に書いてある内容以外で罰せられることはないというように決められているので、その内容に関してかなりしっかりと物事が決められているということになる。
しかし、法律や罪刑法定主義がしっかりとしていない中国などでは、そのようなことにはなっていない。そもそも「中国」という国は法律が書いてあってもその法律の通りに運用ができていない場合が少なくない。まあ、一応法律がありその法律を守るということは間違いがないのであるが、残念ながら中国は法律を運用するにあたっての細かい部分が決まっていない場合があるので、そのような意味で、法律に書かれていることが運用者によってかなり差があるということになる。そのような意味で、「スパイ」の定義や「スパイ行為」の定義は、基本的には、中国そのものが決めるということになっている。さて、中国そのものが決めるということは、そのまま「中国が政治的な都合でスパイ行為やスパイをでっちあげてしまう」ということがあり、その為に、日本の企業が中国に頼まれた仕事をして、その行為がスパイになってしまうなどということになるのである。
「反スパイ法」というようなことの教育を言うが、基本的に、誰も「スパイ」になりたいとは思わないし、また「国や故郷とを裏切る」ということは、その地域ににおいてそれ以後暮らせないということを意味している。その暮らせないような状況になりたくないので、多くの人は「反スパイ」ということには賛成することになるが、そもそもその定義がしっかりしていないで賛成するということは、中国政府の後付けの定義によって、スパイにされないように、結局は「政府の言いなり」になるということになるのである。まさに「反スパイ教育」というのは、まさに、「スパイの定義をしない」ことによって、予告なくスパイを決めるということで、国民や外国人を政府の意のままに従わせることができるし、また、都合の悪い人を、スパイにでっち上げて拘束することができるということになる。まさに「政府主導の人別装置」がこの反スパイ教育になってしまっている。そのことを見て、スパイ教育で何が行われているのかを見る必要があるのではないか。
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