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2024-06-18 00:00
中国が戦争を始めると言うがいったいどんな理由で始めるのか
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
米中戦争については、その危険性が高まっているということを主張する人々が多くいる。台湾有事、中国が台湾に軍事侵攻して、台湾を防衛するアメリカ、そして、日本と戦争状態になるという主張がある。中国は既に武力に訴えなくても、台湾を統一することができるようになっているということはアメリカでも言われている。台湾に対して武力を用いないとなれば、中国が他に武力を用いることは考えられない。また、中国がアメリカに代わって、世界覇権国になる可能性が高いが、アメリカの凋落を中国は熟した柿が落ちてくるのを待つ、熟柿作戦で十分だ。わざわざ木を揺さぶって、柿を無理やり落とすようなことは必要ない。アメリカが挑発しない限り、中国は戦争を起こさない。
しかし、中国は習近平がこれまでのルールを変更して、3期目の国家主席を務めている。また、中国国内政治において重要な勢力である中国共産主義青年団派(Communist Youth League Faction、CYLF、共青団派、団派)を最高指導部層から排除している。そして、「軍工航天系、jungonghangtianxi」と呼ばれる、国防・航空宇宙産業出身者たちが多数、中国共産党中央政治局に入っている。彼らは、軍事と最先端技術の知識を持つ人材である。そして、こうした人事は、中国の戦争に備えた体制、アメリカの不安定さから起きるかもしれない突発的な事態に備える体制を整えている。中国は戦争を起こす意図は持っていないが、怠りなく、戦争に備える態勢を整えている。
アメリカとアメリカの同盟諸国(アジアでは日本ということになる)は、中国の膨張に備えて、中国を抑止できるようにしておかねばならない。抑止力の強化、中国の封じ込めこそが重要だという論である。しかし、これでは、アメリカ(と同盟諸国)、中国の双方が軍拡競争を行うということになる。軍備を増強して、安心感を得ても、相手は不安を感じ、軍備を更に増強する。これがずっと繰り返されていくという、「安全保障のディレンマ(security dilemma)」に陥ってしまう。国力が減退し続けているアメリカは中国との軍拡競争をすべきではない。そんなことをすれば、自分で死期を早めるようなものだ。また、アメリカは西側諸国を対中包囲網に引き入れようとしているが、西側先進諸国の国力も衰退しつつある。一方、非西側諸国は国力を増進させている。大きな流れで言えば、中国を封じ込めることはできないし、非西側諸国の国力の膨張を停めることはできない。
短期的、中期的に見て、米中両国は「G2」体制を形成し、世界の平穏維持に努めるべきだ。そして、G2の枠組みを通じて対話を行い、無用な衝突を避ける、このことが何よりも重要だ。米中戦争という馬鹿げた幻想に乗せられて、衝突することこそは人類の大いなる不幸である。
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