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2024-06-21 00:00
実質ウクライナの降伏以外に和平条件を出すことのできないプーチンの事情
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
ウクライナ和平サミットがスイス中部のビュルゲンシュトックで90か国以上を集めて行われる。この内容は昨年にもウクライナ平和会議があったが、長期化するウクライナの和平案と、戦後の復興ということを課題に、各国の首脳が集まって行っている会議である。しかし、当事者であるロシア及びBRICS系の首脳が参加せず、そのことのよって「今回のサミットの結果が実現する可能性は低いのではないか」ということが言われている。実際に、ウクライナとアメリカやNATO、そして、日本の間も軍事協力協定などが結ばれることになり、ウクライナの支援体制が非常に大きな内容になってきている。一方で、アメリカが相変わらず、「支援しているのか、戦争を制限してウクライナを敗北に導くように苦しめているのか」ということが全くわからない状態になっており、バイデン大統領をはじめとしたアメリカ民主党の「軍事音痴」には驚く限りである。
ちなみに勝手なことを言うが、今のアメリカの民主党の軍事政策は、豊臣秀吉死後の石田三成を中心にした『吏僚派』といわれる戦争音痴の官僚集団である。平和とか、補給とか、民政とか、そういう事ばかりでいざとなったら何もできない。司馬遼太郎先生の「関ケ原」の中には、なんだかわからずに手勢を連れてきて、成り行きで西軍に所属してしまった島津義弘のセリフとして「軍事は集中して用いることが常であり、群を様々な方面に分散させて戦うなど、戦を知らないにもほどがある」というようなことを言わせている。まさに今のアメリカは「軍事力の逐次投入」を行っており、まさに、分散させているのと同じで、結局は戦況を悪化させるだけで何の予防にも何もならない。その状態で優勢になったロシアは、結局は調子に乗って和平のタイミングも失わせてしまうということになっているのである。そのバイデン大統領は、「耄碌」してしまっており、体調が悪いといってG7の晩餐会を欠席するなど、とても重責に耐えられる状態にはないということになっているのではないか。まあ、そのような「足並みがそろっているようでそろっていない」ウクライナ側に対してロシアと中国は何を考えているのであろうか。ロシアを支援している中国に対する非難声明が出るが「声明」などというような話は全く関係なく、無視していればよいというのは共産主義者の人々の常である。そもそも東西冷戦の延長戦と思っているような人々では、話にならないということになるのではないか。そのような非難声明でいうことを聞くのであれば、そもそも戦争や軍事作戦などは必要ないということになる。
その和平サミットに対して、プーチン大統領は和平条件として、「ロシア軍による停戦と引き換えに、ウクライナはドネツク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各州から軍を引き揚げる必要があると主張。ウクライナに北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念することも求めた」との報道がでていた。とはいえこのようなことを言って、西側諸国つまりスイスに集まった国々が、これを認めるなどということをプーチンは考えていないであろう。ではなぜこのようなことを発言したのであろうか。プーチンの主張は、単純にウクライナの実質的な降伏であり、この2年半ウクライナや西側諸国が負ってきたすべての犠牲を無にするものである。このようなことを認めれば、ゼレンスキー大統領は国民の信を失うことになるし、また西側諸国の首脳は当然にすべての国民からマイナスの評価を得ることになる。ではなぜこのようなことを言うのか。そもそもまずロシアがかなり苦しいということになる。共産主義圏の人々は、「自分の弱みを見せる」ということはせず、単純に「自分の主張を100%以上行い、そのうえで、100%で妥協したように見せる」というような交渉手法をとる。つまり「本来ならばウクライナ全体を併合してしまうところを、東部4州で許してやる」という主張をしている。しかし、本当にできるのであれば、へルソン辺りで一進一退で終わっているはずはなく、冷戦時代の「ロシアは強い」というような幻想はなくなっている状態でこのようなことを言っても問題はない。つまり、ロシアは、かなり苦しい状態になっているということであり、そのことはすでにプーチンの周辺の政治的な安定も失われているということになるのではないか。まずはプーチンが和平ということを言い出したところで、その内容を見てゆかなければならない。
そのうえで、ロシアの国内において、政変が起きようとしているということ、つまり、ロシアの国内でも戦争反対派が多く、「ロシアがある程度の戦果を残した状態で終わりにしなければ政府が持たない」ということになるのではないか。逆にいえば、バイデンのようなダメな大統領でなければ、CIAをけしかけてロシアで革命を起こしているであろう。ちなみに岸田首相でなく、明治時代の日本の人々であれば、明石元二郎大佐などを派遣してロシア革命を画策したに違いない。今はそのような状況いなっているということである。同時に、このことを突然出してきたということは、当然に「中国や北朝鮮も徐々に支援が途切れてきている」という事であろう。そもそも共産主義・唯物主義の下層民衆はモラルがないので、当然に武器なども横流しをして私腹を肥やすことになる。そのように考えれば、支援が滞っているのか、下層民衆が不正をしているのかはよくわからないが、いずれにせよ、ロシアの武器や兵員も枯渇しつつあるということを意味しているのである。この状態でNATOと本格的な戦争は不可能ということになるのではないか。このような「強気なメッセージ」は・ロシアや中国など共産圏の人々や旧東側諸国の国々では、かえってマイナスになっているちうメッセージが含まれることになる。そのことを見越して外交政策をしなければならないが、岸田首相やバイデン大統領では望み薄である。
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