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2024-06-22 00:00
イスラエル戦時内閣の解散:イスラエル・ハマス紛争の行方はどうなるか
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
昨年10月から始まった、イスラエル・ハマス紛争は8カ月を経過し、終息の兆しを見せていない。イスラエルは、ハマスの殲滅と人質奪還のために、ガザ地区での軍事作戦を遂行中であるが、パレスティナの民間人の犠牲者が3万7000人を超え、停戦に向けての国際的な圧力が高まっている。
昨年のハマスの攻撃から、イスラエルでは中道派も入っての戦時内閣が形成され、紛争へ対処してきた。中道派野党「国民の団結」から、代表のベニー・ガンツ前国防相が閣僚として、ガディ・アイゼンコット元参謀総長がオブザーバーとして、入閣した。残りの4名はベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる与党リクードのメンバーである。ガンツとアイゼンコットは、イスラエル国防軍の参謀総長経験者である。国家団結が内閣から離脱ということで、挙国体制の戦時内閣が形成できないことから、戦時内閣の解散ということになった。ネタニヤフ内閣自体は、右派、極右派の連立政権となっている。
ガンツは、ネタニヤフ内閣には、ガザにおける戦争戦略の欠如を指摘し、「真の勝利に向けて前進させる」ことを阻害しているとしてネタニヤフを非難した。そして、速やかなクネセト(議会)選挙の実施を求めた。これは、イスラエル国内の、戦争に対する不満や、ネタニヤフ首相の腐敗に対する反感を反映したものだ。ネタニヤフ首相は、自身がスキャンダルを抱える身であり、戦争が終了する、選挙に負けるということになれば、逮捕・訴追を受ける可能性が高い。そうした面からも、戦争が継続することは彼個人にとって利益となる。国際社会は、事態のエスカレーションを望んでいない。イスラエルを手厚く支援しているアメリカも停戦を求めている。そうした中で、ネタニヤフは、極右派に更に依存し、戦争を進めていくことになる。
ガンツは、今年5月にレバノン国境の安全について発言している。イスラエルはガザ地区でのハマスの掃討作戦を行い、北部のレバノン国境では、ヒズボラとの戦いを続けている。ハマスもヒズボラもイランからの支援を受けているが、ヒズボラの方が武器のレヴェルが高く、かつ、練度も高い。イスラエルは両組織よりも軍事力としては圧倒的に上であるが、二正面作戦を長期間にわたって継続することで、イスラエル国内では、経済的、社会的な損失を被ることになる。
イスラエル・ハマス紛争については、やはりアメリカが圧力を強めての停戦、人道支援の実現ということが重要だ。中道派離脱による戦時内閣の解散は、イスラエルの戦争継続に影響を与えることになるだろう。アメリカとイスラエルは、何が自分たちの国益に適うことなのかを冷静に計算し、判断するべき時に来ている。
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