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2024-07-09 00:00
中国の反日反米政策の成果に見る「企業はなぜまだ中国に行くのか?」
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
江蘇省の蘇州は、非常にのどかな町である。私自身、すでに20年以上前に何度か行っているが、基本的には非常にのどかな場所である。
月落烏啼霜満天
江楓漁火対愁眠
姑蘇城外寒山寺
夜半鐘声到客船
『楓橋夜泊』という漢詩で、意味は次の通りだ。「月は沈んであたりは闇、カラスが鳴いて一面霜が降りそうな寒い夜、旅の寂しさに眠れないでいる私の目に、川岸のカエデの葉といさり火が赤々と、蘇州の町の郊外にある寒山寺からは、真夜中の鐘の音がこの船にまで響き渡ってくる」。まさに、このような場所だ。上海も近く、日本人には非常に人気の場所である。当然に上海が近いということから、日本の駐在企業も多く、また日本企業の多くのは中国の企業との取引を行っている。それだけではなく、上海の観光客もここにあげた「寒山寺」を見るためにやってくる。つまり「比較的日本人が多い」地域であるということが言えるのではないか。さて、このように中国が外国との経済的なつながりを維持し、その投資や貿易によって経済発展をしてきた。しかし、中国が「大国」であるというようなことを言える相手は、すべて小さな国や発展途上国であり、中国の経済に影響を及ぼすほどの経済力はない。つまり「中国が敵であると認識し、覇権主義の邪魔であると認識した国から科学技術やネット技術、そして金銭的投資や貿易を行わなければ、中国の経済はうまくゆかない」ということになる。しかし、「経済音痴」といわれる習近平国家主席はそのような状況であっても全く異なる政策を行うのである。
6月になってからアメリカ人の学校の先生が3名、公園で刺されるということがありました。そして、日本人の親子が蘇州で襲撃されるということになりました。習近平国家主席の政権は、その前に「日本の和服や日本の文化を広めた場合には警察が規制する」ということになる。そのようなことを行うことになってしまい、和服を着てイベントに来ることなどが禁止されている。これは日本の文化が脅威であるということもあるが、一方で、日本を称賛することを許さないということを政府が主張しているということになるのである。アメリカに対しては、私が中国に行っていた1990年代後半から「アメリカ帝国」という言い方をしていて、「打倒する対象」という言うような感じになっているのである。そもそも、中国は「中華」であり、自分たちだけが中心であるということになる。自分を中心に四方はすべて「魑魅魍魎」の住む場所で「東夷・西戎・南蛮・北狄」となっている。日本は古くから「漢書東夷伝」というところで「楽浪海中倭人あり」という言葉から日本が出てきているのである。中国共産党は、この考え方を踏襲し、そして毛沢東は「中華人民共和国以外はすべてダメな国」として
「共産主義は先進的である」という前提で世界共産主義革命を推進していたのである。習近平は、この毛沢東時代の共産主義的外交を復活している。「中華民族の再興」ということを掲げている習近平の政治は、まさにこのような事から「他の文化はすべて劣っている」というようなことから行われるのである。そして「他の文化が中華民族の考え方や政権を壊しに来ている」といういうようなことを考えているのである。共産主義は「平等」と言いつつ「すべてが上下関係で人間を序列化する」という考え方になっており、平等や仲間意識というような並列の人間関係を構築することはほとんどない。そのようなことから「外交」においても「並列的な外交関係」はなく「上下関係」特に「朝貢貿易」のような内容しか認められていないのである。そのような関係で日本やアメリカを見ており、並列になっていれば「武力でたたく」ということしか考えていないのである。このような国に「なぜ日本人は喜んで技術などを持ってゆく」のであろうか。その技術が、今回の親子のように「日本人を殺すためのもの」であるということが今段位わからないのであろうか。そのことをしっかりと見てゆくべきではないか。上記の記事もそうであるが、日本人の事件ばかりを見てしまう。そうではなく、中国で今何が起きているのかということをしっかりと見るべきではないか。
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