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2007-11-27 00:00
連載投稿(2)進展する日本・アフリカ協力関係
太田正利
元駐南アフリカ大使・元杏林大学教授
しかし、南部アフリカでは不安定要因もある。それはジンバブエ関連だ。筆者のザンビア在勤中(1984~87年)、ジンバブエははるかに豊かで、ザンビア側から買出しに行く程だった。ところが今やジンバブエ経済は破綻に瀕している。ムガベ大統領が1980年独立以来唯一の大統領(現在4選目)で、白人系の土地を没収して黒人に分配するなど乱暴な政策を推進したり、人権蹂躙の結果も相俟って、欧米のいわば「総すかん」を食って、経済制裁を受け、現在では深刻な外貨不足、農業生産の不振・・、さらに2002年には英連邦から脱退(事実上の追放か?)、2005年には米国は同国を「圧政の拠点」と指摘した。物価上昇率は7630%だと言う。これら報道について、筆者は現地にいないので確認する術がないが、かかる情勢下でムガベ大統領の失脚・亡命説すら出ている。
先にTICADに対する日本の貢献に言及したが、この間のアフリカ自身によるイニシャティヴによる発展にも言及したい。これがNEPAD(The New Partnership for Africa’s Development)である。すなわち、アフリカ人自身の責任においてその貧困撲滅、持続可能な成長と開発、世界経済への統合を目指し、国際社会に対しても応分の支援を求めていくというわけだ。そもそもこの構想はムベキ南ア大統領の提唱に係るもので、後にナイジェリアが賛同し、それにアルジェリア、エジプト、セネガルも共同提案国となり、2001年7月のAU総会で採択されたものである。ムベキ大統領の個人的盟友としての筆者も、アフリカも遂に目覚めたかと喜んだものだ。
アフリカ自身のイニシャティヴ、ガヴァナンスの重視、地域協力の重視、そして(ODAのみに頼らず)自力での民間資金の活用、海外直接投資の誘致の重視等、アフリカ諸国の政策(かつて先進国に「丸投げ」だったもの)の転換を目指すのだ。日本は既にTICAD-III でNEPAD支援を明言しており、支援のための具体的な案件実施の可能性を検討、実現の方向にある。アジア・アフリカ間の貿易投資促進のための共同ガイドラインとしてTICAD-NEPAD共同枠組みに署名しており、本年8月には第2回NEPAD政策対話を南アで開催し、明年の洞爺湖サミット及びTICAD IVに向けての協力関係の強化について合意している。
アフリカを自分自身の「裏庭」と考える一部の欧州諸国には然るべき敬意も払うが、中華帝国の進出をこれ以上容認したくない。筆者は、少なくとも相当の「種子」を南部アフリカに播いてきた心算である。ここに、デ・クラーク元大統領(そしてマンデラ前大統領も同じ意見)を引用しておこう。「南アは日本にとっては『大洋における小魚』かもしれぬ。しかし南アにとっては日本は『小沼における大魚』である。我々は『アフリカにおける日本』になる」。これには解説が必要かも知れないが、今回は特に解釈は読者にお願いしたい。(おわり)
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