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2024-09-27 00:00
若者たちの投票率の低さはどこの国でも同じなようだ
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
日本では最近になって投票年齢が18歳に引き下げられて、高校生でも投票ができるようになった。日本では長年にわたり、若者層の投票率の低さが課題とされてきた。多くの人たちに経験があるだろうが、国民の権利だと言われても、若いうちはなかなか政治に関心が持てないし、自分には関係がないと考えてしまうものだ。政治や社会のことよりは、自分の生活の方に関心が向くのは仕方がないことだ。こうした傾向は日本だけではなく、アメリカでもそのようだ。アメリカでは日本よりも早く1960年代から、18歳以上が投票できるようになっていたが、アメリカでも若者たちの投票率の低さが課題とされてきた。これはもう仕方がないことかもしれない。高齢者層に比べて投票率が低くなるということで、日本では「高齢者に有利になるような政治になってしまう(シルヴァーデモクラシーという言葉が使われる)」「高齢者の投票を制限する」というような主張も出ている。それよりは、まず若者たちの投票率を上げることが重要であろう。まぁ、日本では人口ピラミッドが逆三角形のようになっているので、どうしても中年から高齢者の数が多くなってしまうのは仕方がないことだ。
アメリカの人気歌手テイラー・スウィフトが自身のSNSで、民主党のカマラ・ハリス副大統領とティム・ウォルツミネソタ州知事のコンビを支持すると表明し、有権者登録を訴えた。有権者登録を行う人が増えたようだ。民主党側は、若者たちの投票を期待しているようだ。2016年の大統領選挙と2020年の大統領選挙では、2020年の方が若者層(18~29歳)の投票率が高かったという結果が出ている。そのため、「若者層が投票に行けば、ハリス・ウォルツが勝利する」という考えが民主党内にあるようだ。そのために、テイラー・スウィフトの支持は大きいと見ている。
テイラー・スウィフトの影響力がどれほどのものかは分からないし、歌手1人が支持を表明した程度で、大統領選挙の結果に重大な要素になると思えない。人気歌手が支持しているから私もと考えるような若者は多くないだろうし、そのようになるだろうと考えること自体が、若者たちを馬鹿にしている考えだ。それは、若者たちには考える力がなく、人気者が言えばそれに従う程度だということを前提にしているからだ。民主党がこれを喜んでいるようならば、それはそれで結構なことであるが、アメリカ国民にバカが多いと自分たちで認めていることになり、アメリカの先行きの暗さを示すものだということをよく考えた方が良い。
アメリカでは有名人や社会的影響力がある人物が自身の政治に関する意見を表明する文化があり、それは素晴らしいことであると思う。日本ではそんなことをすれば(特に自民党や日本維新の会を批判すれば)、大きな批判を浴びてしまうことになるので、意見を自由に表明できない。自由な意見の表明ができるということは素晴らしいことであるが、それに世論が左右されるということはまた別だ。意見を聞いて、自分で考えるようになる、そのことは日本やアメリカということは関係なく、私たちに求められていることだと思う。
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