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2024-11-18 00:00
第二次トランプ政権は第一次政権での失敗を教訓にして準備されている
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
ドナルド・トランプ次期大統領は着々と第二次トランプ政権の人事を発表している。第二次トランプ政権の顔ぶれについて批判もあるが、スピード感と明確な意図は評価されるべきだ。選挙が終わって10日ほどで、これだけの人事を、スピード感を持って発表出来ているのは選挙前から構想が練られ、準備が進められ、指名を受けた人々に対する根回しが済んでいたことを示している。このスピード感はトランプ陣営が2016年に比べて、「プロフェッショナルの集団」となったことを示している。2016年は言ってみれば、「期待されていなかったのに予想外の当選をして、慌てているアマチュアの集団」であった。
トランプ新政権の意図は「復讐」ということになっているが、もちろんそれだけではない。これまでに指名された人々は、自分がトップとなる各政府機関に対して批判的な人々である。彼らはトランプの意向を忠実に遂行する「忠誠心」を持ち、各政府機関の改革に取り組むことになる。特に情報・諜報分野の国家情報長官に指名されたトゥルシー・ギャバードとCIA長官に指名されたジョン・ラトクリフは注目である。情報・諜報分野は戦争にも直結する役割を担う分野で、ここを改革することで、「アメリカ・ファースト」「アイソレイショニズム(国内問題解決優先主義)」を断行し、究極的には「核戦争を阻止する」という目標を達成するということになる。
今回の第二次トランプ政権の顔ぶれはまだ発表途中であるが、2016年のトランプの大統領当選以来の8年間で、「トランプ政治運動」に参加し、成果を上げた人々が入った「本格政権」ということになる。彼らは既存の政治のしがらみを持たず、本格的にトランプの目指す改革を実行できる人物たちだ。そして、これからも続くであろう「トランプ政治運動」の中核となる人々だ。トランプは今回の大統領任期4年で退任するが、それ以降も、「トランプ政治運動」は続いていく。J・D・ヴァンス次期副大統領やエリス・ステファニック米国連大使といった若手(2人ともまだ40歳だ)を伸ばしていく4年間ということにもなるだろう。
しかし、同時に心配なのは、既存のワシントン政治の強靭さだ。民主、共和両党のエスタブリッシュメントと各界のエリートたちはトランプたちの動きを阻止するためにあらゆる手段を用いて抵抗するだろう。激しい権力闘争、政治闘争が起きる。アメリカの分断は修復不可能なところまで来ている。そうしたワシントン内部の権力闘争から、アメリカ内戦までつながるということも考えられる。アメリカの衰退は既定路線で、トランプが大統領になり、トランプの下で改革が続いてもアメリカが復活することはない。しかし、アメリカが建国の理念に立ち返り、少しでも状況を良くすることをアメリカ国民はトランプに託した。理想通りの結果は得られないだろうが、トランプ流のポピュリズムがどれだけのことができるか注目していきたい。
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