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2024-11-29 00:00
北朝鮮の核ミサイル開発とウクライナ戦争への参戦
舛添 要一
国際政治学者
10月31日、北朝鮮はICBMを発射した。新型の火星19号だという。ロフテッド軌道で打ち上げ、高度は7千㎞を超え、86分間飛行した。ミサイルは約千㎞飛行し、北海道奥尻島西約200㎞の会場に落下した。また、約1万人の北朝鮮の兵士がロシアに送られ、ウクライナとの戦争に参戦している。北朝鮮は、2006年10月に初めて核実験を行った。2009年5月には2回目の核実験を断行した。そして、2012年には憲法に「核保有国」と明記した。さらに昨年9月28日の最高人民会議で、核保有を永続化する方針を憲法に記すと明言した。
2013年までに3回目の核実験を行っているが、その後、核兵器の小型化にも成功しており、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、2023年に30個、2024年に50個の核弾頭を保有しているという。因みに、2024年現在で、アメリカが5044個、ロシアが5580個、イギリスが225個、フランスが290個、中国が500個、インドが172個、パキスタンが170個、イスラエルが90個である。前年比で比べたときに、北朝鮮、中国(90個増)、インド(8個増)が核弾頭数を増やしている。北朝鮮が核ミサイル開発に全力をあげているのは、金ファミリーによる独裁体制を維持するためである。これは、金日成、金正日、金正恩と三代にわたって変わっていない。
世界最強の軍事大国アメリカといえども、北朝鮮を攻撃しようとすれば、必ず核兵器による攻撃を受けるということである。そこで、北朝鮮は、国民が飢えようが、核ミサイル開発を最優先の国家目標としているのである。そして、北朝鮮のような小国がアメリカと対等に外交交渉ができるのは、核兵器のおかげだからである。また、核兵器や化学兵器などの大量殺戮兵器を放棄すれば、リビアのカダフィやイラクのサダム・フセインのような命運が待っていることを、金正恩はよく知っているのである。金正恩は、核兵器や弾道ミサイルの性能を向上させる能力が欲しい。北朝鮮にそれを提供できる友好国の核軍事大国は中国かロシアである。しかし、中国は北朝鮮の核武装を望んでいない。そこで、標的はロシアということになる。
金正恩は、ロシアの軍事技術を入手するために、ウクライナ戦争で不足している武器弾薬、兵員を提供することのバーターで欲しいものを手に入れようとしている。弾薬については、韓国政府の10月末の試算によれば、すでに約940万発が送られている。在庫整理のため、北朝鮮は1970年代に生産した弾薬まで提供したという。したがって、実戦に使用可能かどうかは不明だという。10月中旬に北朝鮮はロシアに1万人以上の兵士を派遣し,ウクライナ軍との戦闘に参加している。北朝鮮にとっては、軍事技術、食料、外貨を獲得する手段であり、また兵士に実戦訓練を施す機会ともなる。今回打ち上げた火星19号にもロシアの技術が活用されているようである。しかしながら、北朝鮮の兵士は、祖国から遠く離れた戦場で犬死にする危険性があるし、ロシア軍にとっても、指揮命令系統などの観点から、真に有力な援軍となるかどうかは疑わしい。
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