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2007-12-03 00:00
NHKをめぐる諸問題
大藏雄之助
評論家
来年早々に任期満了を迎えるNHK会長の人事が噂されている。現会長は、前会長の不祥事により、手が汚れていないということで緊急に選ばれたものであるが、いかにも指導力が欠如している。だからといって、NHKの具体的な実務について経営委員会が必要以上に介入するのには賛成できない。NHKのモデルになったイギリスBBCの初代会長リースは、「経営委員が仕事をしたがって」混乱が生じることを危惧した。もともと経営委員会は機能して来なかったから、今後とも受信料制度を継続するのならば、特に罰則を設けて強制するのなら、経営委員会を廃止して、もっと受信者の意向を反映するような組織に改めるべきである。
今日世界各国で、受信料のみで運営されている放送局はほとんどなく、大方は広告を取り入れている。また、厳しい罰則のあるBBCでも、近隣諸国の放送を含めて、衛星放送やケーブル・テレビが多数無料で見られるために、不払いは年々ふえており、処罰は困難になっている。公平負担の原則からも放送の独立性維持の観点からも、一部アメリカのPBSのようにロゴマーク表示方式のスポンサーシップを受け入れながら、スクランブル化による有料テレビに、やがて切り替えていかざるをえまい。
公共放送と称するからには、ニュースの信頼性を高めることが期待されるが、最近は必ずしも満足できる状態ではない。以下に二つの例を挙げて注意を喚起する。先日、谷内(ヤチ)外務次官の訪米の際、NHKのラジオで何度もタニウチ次官と繰り返した。これは第一項目だったのでニュースの時間内に十分訂正する余裕があったが、訂正はなかった。次に、新しく開いた上海の虹橋空港をニジバシと言っているのは誤りである。日中両国は申し合わせにより、相手の固有名詞はお互いに自国の音読みにすることになっているから、コウキョウと呼ぶべきだ。この調子では、毛沢東はケサワヒガシになりかねない。
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